国立成育医療センターとエルピクセルは、AI(人工知能)を活用した小児白血病診断支援システムの共同研究を開始したと発表した。小児白血病の診断に用いられる骨髄塗抹標本検査において、目視では捉えきれなかった血液細胞の特徴をとらえ、より正確な診断や治療反応性の評価を可能にすることを目指す。 「目視では捉えきれない特徴」をAIで検出可能か、共同研究実施 血液がんである小児白血病は、小児期に発症するがんとしては最多で1年間におよそ700-800人が発症する。近年、小児白血病は、治療薬(化学療法)や治療法(層別化治療)の発展により、5年生存率が8割を超えるなど治療成績が向上しているが、一方で治癒率には未だ改善の余地がある上、長期的な合併症(晩期合併症)を軽減することの重要性も注目されている。このため、白血病の分類と治療反応をより正確に評価し、それぞれの患者に最適な治療法を選択することが求められているという。 今回、国立成育医療研究センターと画像診断支援AIの事業を展開するエルピクセルは、共同研究でこの課題に対する解決策の提示を探索する。具体的には同研究センターや共同研究施設が収集した骨髄塗抹標本検査の検査情報と結果を活用。エルピクセルがこれらの情報を画像解析AIに学習させることで、小児白血病診断支援システムの開発を目指す。 現在の骨髄塗抹標本検査では、専門医による形態的な分類とその他の検査を総合して白血病の病型分類を行い治療法を決めているが、こうした検査をAI診断支援システムに置き換えられれば、目視では気づかない分類の実現が期待できるという。両者では、より正確な分類を行うことで適切な治療選択が可能となり、治癒率のさらなる向上と晩期合併症の軽減の双方の達成につながるとみている。またこうした鑑別の定量化と効率化によって、診断医の負担軽減も期待できるという。