一大潮流が「見守り」であることは間違いありませんでしたが、今回のCEATECはそれら以外も実験的な未来技術の展示が多数行なわれていました(販売間近というのもいくつかありましたが)。自分なりに分類してご紹介します。
「におい検出」が創出する“先制的ケア”の未来
太陽誘電が開発しているにおいセンサの参考出品。センサそのものは見られませんでしたが、特徴としては選択的に、かつ複数のにおいを検知することが可能だとのことでした。今後どのようなにおいを検知させるかについての研究パートナーを求めているとのことで、医療介護分野でも研究者とのマッチングが待たれます。
こちらはベッドの下に敷いてにおいで便を検知することで、早めの対処を促すことができるものです。既に船橋市、川崎市でパラマウントベッドとともに実証実験に入っており、実用化も近いとのことでした。
「移動難民」を救う?パーソナルモビリティ
スマートシティ戦略とも言える、街のインフラを丸ごとICT技術を実装したデバイスでリプレースすることを提唱する日立。様々なモビリティを展示していましたが、特に注目したのはこちらの「ROPITS®」。屋内屋外双方で走行できるサイズと速度を想定したものだそうです。
操縦桿のようなシンプルなコントローラーで片手でも操縦ができる一方、速度や現在位置などが把握できる計器類、モニター類が一切ありませんでした。この点を説明員にお聞きしたところ「歩行の代替を想定している部分もあるので考えていない。自宅の中から、例えばクリニックの待合室までといった、建物の中まで入っていくことを想定している」とのこと。確かにそういうことならば、あくまで運転者には目視で状況把握してもらうのがいいでしょうね。また、現在位置を遠隔で把握できるようにしスマホなどの端末で「配車依頼」し、自走でそこまで向かう等の構想もあるそうです。
ただ、一方で説明を聞きながら残念に思ったのが、日立としては単体での社会実装に積極的ではなく、あくまでスマートシティ全体の包括的な導入にこだわっていることです。ROPITSにおいても、いま話題の日立のロボットEMIEW3との連携などをアピールしていましたが、デバイスそれぞれがかなり可能性を持つものだけに、機会損失しているのではと感じました。
言葉の壁をユニバーサルに取り払う「しゃべり書き」
三菱電機のブースで展示されていた「しゃべり書きUI」は、今回のCEATEC AWARD2016でグランプリを受賞した注目の技術。タブレットに話しかけながら任意の場所をなぞっていくと、ほぼ同時にそこに言葉が出てくるというもので、その即時性と正確性に驚きました。まったく同じ操作で多言語への逐次翻訳も可能でした。さらに、画面には簡単なピクトが用意されたり、任意で撮った写真に、指でなぞってサインを入れられるなど、タブレットならではの特性を活かした非言語の伝達も同時にできるようになっていました。「聴覚障がい者とのコミュニケーション」「多言語逐次翻訳」「絵図によるコミュニケーション」の3つのレイヤーのコミュニケーションを高度に統合しており、医療現場でもインバウンド対応を中心にすぐにでも使える優れた技術と感じました。
ブースでのプレゼンテーションムービーを撮影したので、参考になればと思います。