前回に引き続きCEATEC2016の各ブースから、(あくまで私目線で)面白いと感じたものをご紹介します。
個性のセンシングを目指す“ニューロテーラーメイド”
東海光学のブースでは“ニューロテーラーメイド”をキーワードに、そのセンシング機器「Happiness」の展示が行なわれていました(プロトタイプ)。最初はBMIかと思ったのですが違っており、あくまで今は視覚のセンシングとのこと。遠近両用レンズの改良を目的に、このセンシング機器を使った視覚情報処理に関する低次脳活動の計測を計画していたところ、可能性としてより高次の活動計測、そして視覚だけではない他の感覚に関する情報処理の計測の可能性も見えてきたという話でした。
このデバイスを使った計測の研究は、内閣府の革新的研究開発推進プログラム『ImPACT』のひとつである「脳情報の可視化と制御による活力溢れる生活の実現」の課題のひとつとして採択され、本格的な研究に取り組むそうです。脳が各感覚からの情報をどのように処理し受け取るのか可視化できれば、治療やケアに対する個人の反応を計ることにも繋がりますので、効果検証の手段として有力になるでしょう。デバイスとしてもかなりシンプルで、被験者の抵抗感も少なくなることが期待できますし、今後の展開を待ちたいと思います。
「人体通信応用デバイス」がもたらす、セキュリティとふれ合いの両立
パナソニックのブースはレポート第一弾でも取り上げましたが、ほぼすべてが研究中の未来技術の出展とあってかなり混雑していました。中でもとりわけ注目されていたのが、この人体通信応用デバイス。電界を発生させ、その電界をデバイスで変調させることで、変調のパターンによってトリガーを変えさまざまな動作を切り分けるそうです。この写真では手を映せませんでしたが、それぞれ色を設定したリストバンド型デバイスを装着して手を握ると、コンパニオンのスカートがその色に発光する、というデモを行なっていました。今回はこの程度ですが、当然より複雑な情報を伝達できるよう研究を進めるとしています。
説明員のお話を聞きながら、私自身は診療場面での触診をICT化できるかもしれないと考えました。例えば、主治医が触診したときだけ、その時も含めた様々なバイタルの履歴がダウンロードできるなどです。主治医の認証を別のシステムで行ない、かつ通信時の暗号化も行なっておけば、「しかるべき関係者が患者さんをきちんと診たときだけ、即座に関連する情報を取得閲覧できる」という、ケアにもつながる「ふれ合い」とその時だけしか通信できないという絶対的な「セキュリティ」が両立できるのかもしれない、ということです。