「医療的ケア児の宿泊ガイドライン」作成に向けクラウドファンディング開始

福井で在宅医療専門クリニックを展開する医療法人社団や、石川で簡易宿泊所を経営する事業者らが、「医療的ケア児」の旅行を実現するためのガイドライン作成に乗り出した。作成費用はクラウドファンディングを活用し、一般に支援を求める。

在宅医療専門クリニック、福祉法人、宿泊事業者が協働で挑戦

医療ケア児とは、たん吸引(気管切開)、経管栄養などの継続的な医療措置とケアが必要な児童のことで、新生児医療の発達により増加している。増加にともない、よりよい生活を送るための社会的活動、例えば移動や旅行などのニーズも増えつつあるが、継続的なケアを伴うため、関係者には問題なく受け入れるためのノウハウも求められる。経験が乏しい場合、リスクを重く捉えれば受け入れを断らざるをえず、現状医療的ケア児とその家族は活動範囲を制限されてしまうことが多い。

こうした課題に、福井県で初めて在宅医療専門クリニックとして活動を始め、医療ケア児の支援にも取り組んでいるオレンジホームケアクリニック、金沢市内で簡易宿泊所を複数経営するこみんぐる、富山県の社会福祉法人が協働で解決に取り組むことになった。具体的には、複数回にわたって実際に医療ケア児とその家族に旅行してもらい、そこで得たノウハウをガイドラインとしてまとめる。受け入れ側である事業者向けのほかに、旅行する当事者向けのガイドラインも作成するという。

作成費用は150万円と見込み、2月7日にプロジェクトを開始した。2月13日時点ですでに31万円あまりの支援を得ている。プロジェクト参画者であるオレンジホームケアクリニックの紅谷浩之理事長は「医療の安全性だけを一番に掲げていると、病院から一歩も出ないのが最高です。でもそれは子どもにとって最高に幸せなのか?彼ら彼女らが当たり前に旅行をする時代。それは、人間誰もが老いても病気を持っても幸せに暮らせる社会になっているんだろうと想像しています」と意義を語っている。

外部サイト:クラウドファンディング募集ページ(Good Morning)