千葉大学病院がメディカルイノベーションに関する教育プログラムを実施
千葉大学病院 地域医療連携部は、2020年5月下旬から開始する教育プログラムの募集を開始した。医療分野の事業創造に関連する知識や現場の課題抽出、AIの理解に必要な技術知識、異分野の人材とのコミュニケーションスキルなどを総合的に学べ、無料でありながら総学習時間は120時間にも及ぶ意欲的なプログラムとなっている。
基礎知識、技術知識習得からコミュニケーション実習まで
千葉大学病院が「メディカルイノベーションを起こせる人材」に特化した教育プログラムを開始することになった。このプログラムは厚生労働省の「令和元年~2年度 教育訓練プログラム開発事業 (2年開発コース)」 として行われるもので、同病院は医療分野において雇用を生み出す、事業創造が行える人材教育を担う。さらに医療分野でもICTをはじめとしたテクノロジーを前提とする事業創造は不可欠となっていることから、ICT関連の技術知識の習得にも重きをおいたプログラムとなっている。
具体的には、知識の面では「基礎知識」「現場知識」だけでなくIoT/5Gといった通信、ロボティクス/遠隔技術、機械学習/深層学習といったデジタル関連技術の知識習得を目指す。Python言語を活用した機械学習プログラムを実際に構築するカリキュラムも組まれている。また、事業構築と評価のスキルを培う学習として、EUで2010年に策定された、遠隔医療の事業モデルを評価するためのフレームワークであるMAST(Model for Assessment of telemedicine)を学びながら、事業運営に必須となる異分野人材とのコミュニケーションスキルを習得する機会も用意された。
複数のベンチャーCEOなど、豪華講師陣
今回のプログラムは豪華な講師陣が名を連ねるのも特徴だ。事業者・経営者からは、遠隔診療サービスを展開するメドレーの豊田剛一郎CEO、複数の医療法人で臨床を続けながら遠隔診療ベンチャーを率い、さらに国際的な取り組みにも意欲を見せる武藤真祐氏などが招聘された。臨床例においては先頃までオンライン診療研究会の会長を務め、遠隔診療の症例を熟知する黒木春郎医師が講義する。医療情報学では京都大学の黒田知宏教授、PHRやEHR事業に関しては必須となる個人情報保護、セキュリティ関連の知識に関しては、情報法制研究所の鈴木正朝理事長(新潟大学 大学院現代社会文化研究科/法学部 教授)、吉澤尚弁護士(漆間総合法律事務所副所長、弁理士・公認不正検査士・情報処理安全確保支援士・ITストラテジスト)、笹原英司氏(デロイト トーマツ サイバーセキュリティ先端研究所 主任研究員、NPO法人ヘルスケアクラウド研究会理事)など、この講師陣以外も、政策提言も行うトップレベルの識者が名を連ねている。
2020年5月下旬から2021年3月まで続くこのプログラムは、総学習時間120時間。履修完了には通年で受講する必要があるが、現下の新型コロナウイルス流行の状況、および遠方からの受講も歓迎する観点からWebでの参加も可能という。定員は20名、受講料は無料となっている。