日本でのコンタクトトレーシングアプリ、AppleとGoogleのAPIを活用 5月中のリリース目指す
新型コロナウイルス対策におけるテクノロジーの活用を検討する、政府の「新型コロナウイルス感染症対策テックチーム」は8日、3回目の会合を開催した。会合では協力予定の民間団体・企業がそれぞれが持つ技術の活用イメージを提案したほか、導入が注目されているコンタクトトレーシング(接触確認)アプリの仕様・開発予定などが明かされた。
日本ではApple/Googleが公開予定のAPIを活用
同チームは座長を西村康稔 新型コロナウイルス感染症対策担当大臣とし、4月初旬からテクノロジーの活用について検討を重ねてきた。8日に開催された第3回では、各国がすでに活用しているコンタクトトレーシング(接触確認)技術についての、日本での実装仕様についての報告と、開発の現状報告が行われた。
まずコンタクトトレーシングアプリと、政府が並行して開発し、今週から21自治体ですでに試験運用を開始している感染者の情報把握・管理システムとの連携、関係性について説明があった。前者は接触者の情報が取得でき、後者では感染者の情報を保持しているが、それぞれを連携することで保健所の事務負担の軽減をはかり、疫学的調査にも活用する。
コンタクトトレーシングアプリについては、各国の導入状況、仕様の比較を行い、日本についてはAppleとGoogleが共同で開発中のAPIを活用する方向であることが示された。すなわち、アプリで取得できる接触者情報は各ユーザの端末で管理することになる。このことから考えれば、感染者の個人情報は情報把握・管理システムには共有されず、数や大まかな地域といった情報が共有されると考えられる。とはいえ、接触者が感染者となった場合のフォローアップは欠かせないことから、症状を問診するなど何らかのかたちで拾い上げる機能が実装されることが想定される。
コード・フォー・ジャパンがすでに開発作業をほぼ完了
コンタクトトレーシングアプリについては、一般社団法人コード・フォー・ジャパンがすでにApple、Googleらと連絡を取り合い開発作業を行なっており、この日の会合で状況を報告した。両社のAPI活用を前提に、複数の保健所、医療関係者、プライバシーの専門家にヒアリングを行い、ほぼ実装完了しているという。ただ現時点でAPIが未公開であることから、実際のリリースは今月下旬以降になる見込みだ。
その他、この会合では画像解析技術を持つ企業が、街頭カメラや大型施設内の防犯カメラ画像から密集度を解析する活用方法、また対面接触の機会を低減させるAIとCG技術を組み合わせた、アバターによる対話システムなどの提案が行われた。