顔映像からむくみの度合いを推定するAI開発 NECと筑波大

 NECと筑波大学の研究グループが、浮腫(むくみ)の度合いをAIを活用して顔映像から推定する技術を開発した。顔映像から浮腫を推定する技術は世界初だとしている。

透析患者の顔画像で教師データ作成

 浮腫の状態を日常的に確認する技術は、原因となる疾患の状態の変化を把握し慢性期の悪化防止や早期発見につながるため、実現が期待されている。従来、透析患者は浮腫の簡易計測手段として体重計を用いているが、今回研究グループでは、透析患者の顔映像から浮腫の度合いを推定する技術を開発。検証した結果、従来の体重測定による計測を代替できる精度であることを確認した。

 具体的には、複数の透析患者の顔映像を用い、顔に表出する様々な浮腫の情報を抽出するAIモデルを事前に学習。その際に浮腫と相関のある体重を教師データとして用いることで、浮腫の有無や度合いを高精度に事前学習する方式を開発した。この事前学習したAIモデルをベースにすることで、利用する患者のデータが少量でも、その患者の浮腫に合わせたAIモデルを転移学習し推定精度を高めたとしている。

 AIを開発後、39名の透析患者から取得した約2万枚の画像を用いた検証を行い、正解率(注8)85%で浮腫の有無を判別し、体重変化の平均絶対誤差0.5kgで浮腫の度合いの推定が可能であることを確認した。

 研究グループでは、このAIはスマートフォンやタブレット端末のカメラで撮影した顔映像で推定ができるとしており、外出先や車いすの利用者でも負荷なく利用可能なほか、場所や環境の制限を受けずにデータが取得できるため、食事や排泄による浮腫度合いの経時変化の分析などが可能となるとしている。

論文リンク:Edema Estimation from Facial Images Taken Before and After Dialysis via Contrastive Multi-Patient Pre-Training(EEE Journal of Biomedical and Health Informatics)