福岡市、ドローン医療活用の先端フィールドへ 相次ぎ実証実験開始
福岡を拠点にベストプラクティスを模索する動き始まる
救急医療・災害医療におけるICT活用を目指す、一般社団法人救急医療・災市害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(EDAC)は、2016年11月13日(日)に開催される第29回いびがわマラソンにおいて、いびがわマラソン救護チーム(岐阜大学医学部附属病院/NPO法人岐阜救急災害医療研究開発機構など)と連携し、ドローンによる空撮映像を用いた安全管理システムを提供・運用すると発表した。いびがわマラソンは、市民マラソンの中でも風光明媚で知られる一方、アップダウンが激しく救護車が入れないゾーンもあるなど、安全管理面での課題もあった。今回、ドローンからのリアルタイム映像を救護チームが監視することで救護者の早期発見を目指すという。
「ドローン特区」福岡での実証実験が相次いでスタート
EDACはこれに先立ち、国家戦略特区である福岡において、主催するコンソーシアムを通じ救急医療・災害対応におけるIoT利活用モデル実証事業を開始したばかりだ。九州大学伊都キャンパスではじまったこの事業では、「ウエアラブルデバイスなどを活用した模擬心停止の早期認識による通報」「無人機を活用した迅速な現場特定による傷病者に接触するまでの時間短縮」「無人機やセンサーなどの情報やバイタルサインなどのパーソナルデータなどのヘッドマウントディスプレイへのAR表示」「無人機を活用した迅速な被害状況の把握による必要な消防力の早期投入」について検証を行なっている。その中核的な役割を担うのがドローン。特区での規制緩和を追い風に、ベストプラクティスを蓄積したい考えだ。
実はEDACの副理事長・CEOは、全国で初めてタブレットを活用した情報共有システムを救急車に搭載し、搬送時間の短縮を実現した佐賀県職員・総務省ICT地域マネージャーの円城寺雄介氏。様々な障害を乗り越え実際に変革を実現したその手腕に期待が集まっている。
医薬品配送の実験も福岡市で
この事業とは別の動きで、エアロセンス、MSD、アルフレッサの3社は共同で、ドローンによる災害時の医薬品配送の飛行実験を2016年10月24日に実施した。博多湾を実験場に、約2km強離れた能古島へ向けドローンを飛行させ無事成功したという。今後も福岡市の協力を得て、災害時の運用に適した垂直離着陸型の固定翼ドローンを想定した実用化を目指し、実証実験を行なっていくとしている。