米CDCの新型コロナウイルス感染防止ガイドラインを日本の医師が翻訳

NEWSCOVID-19,新型コロナウイルス

 米疾病予防管理センター(CDC)が、世界に拡散しつつある新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の対策に寄与するため、感染防止のためのガイドラインを公表した。これをある日本の医師が即座に翻訳し、関係者に共有、活用するよう呼びかけている。

「対応判断の根拠として有益」

CDCのWebサイトに掲載されているCOVID-19感染防止ガイドライン

 ガイドラインの一部を日本語訳したのは、日本有数の在宅療養支援診療所グループである医療法人社団悠翔会理事長・診療部長である内科医の佐々木淳氏。日本の介護現場や高齢者施設の状況に合わせてモディファイが必要としながらも、CDCの示したガイドラインは対応判断の根拠として有益として、一部を日本語訳し自身のSNSアカウントから発信している。翻訳した部分はガイドライン全体のうち「感染拡大防止手順」。以下に佐々木氏が翻訳した内容を掲載する。

翻訳元:

【居宅および施設(住宅コミュニティ)における新型コロナウィルス感染症の拡散防止のための暫定ガイダンス】CDC 更新:2020年2月14日

このガイダンスの対象は、
①COVID-19感染が確認されている、または感染が疑われるが、入院する必要のない人
②COVID-19感染により入院しているが、状態が安定し退院が可能と判断された人
ーーーー
医療機関と公衆衛生担当者が、自宅(施設)でケアできるかどうかを評価する。
入院する必要がなく、自宅で隔離できると判断された場合は、保健部門のスタッフが監視する(日本の場合には医療機関と保健所?)。担当者が隔離措置を終了してよいと判断するまで以下の予防手順に従う。
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■受診以外は家から出ない
受診以外は、室外での活動を制限する。職場、学校、または公共の場所に行ってはならない。公共交通機関、ライドシェアリング、タクシーの使用は避ける。

■他の人や動物から離れて過ごす
人:できるだけ特定の部屋で過ごし、他の人から離れる。可能であればトイレも別にする。
動物:病気のときはペットや他の動物を触らない。

■受診前に電話する
医療機関で他の患者が感染のリスクに晒されるのを防ぐために、受診予約がある場合は、COVID-19に感染している(感染している可能性がある)ことを事前に伝える。

■マスクを着用する
部屋や車に他の人やペットがいる場合、または受診する場合にはマスクを着用する。マスクを着用できないのであれば(たとえば呼吸困難感があるなど)、他の人は同じ部屋にいてはならない。また、他の人が部屋に入るときにはマスクを着用する。

■咳やくしゃみを覆う
咳やくしゃみをするときは、口と鼻をティッシュで覆う。別に準備したゴミ箱に使用済みのティッシュを捨て。すぐに少なくとも20秒間石鹸と水で手を洗うか、60〜95%のアルコールを含むアルコールベースの手指消毒剤を手が乾くまで擦り合わせる。手が目に見えて汚れている場合は、アルコールではなく石鹸と水による手洗いを優先する。

■頻繁に手をきれいにする
石鹸と水で少なくとも20秒間手を頻繁に洗うか、60〜95%のアルコールを含むアルコールベースの手指消毒剤を使用し、手が乾くまで手全体をこすり合わせる。手が目に見えて汚れている場合は、石鹸と水を優先する。洗っていない手で目、鼻、口に触れない。

■個人の生活用品を共有しない
皿、グラス、コップ、調理器具、タオル、寝具を他の人やペットと共有しない。これらの生活用品を使用した後は、石鹸と水で徹底的に洗浄する。

■手が触れる場所を毎日清掃する
手が触れやすい場所としては、カウンター、テーブルトップ、ドアノブ、浴室の備品、トイレ、電話、キーボード、タブレット、ベッドサイドテーブルなどがある。また、血液、便、または体液が付着している可能性のある場所も気を付ける。ラベルの指示に従って、家庭用クリーニングスプレーまたはワイプを使用する。

■症状を観察する
病状が悪化している場合(呼吸困難など)は、直ちに医師に連絡する。受診前にCOVID-19に感染している(あるいは感染が疑われている)ことを医療機関に連絡する。施設や他の患者をCOVID-19から守るために、受診時はマスクを着用する。COVID-19感染またはその疑いで観察下に置かれている人は、保健所または医療機関の指示に従う必要があります。
状態が急変しており、119に電話する必要がある場合は、COVID-19感染(または疑い)の旨をコールの際に伝え、救急隊が到着する前にマスクを着用しておく。

■隔離措置の終了
COVID-19が確認された患者は、他者への二次感染のリスクが低くなると考えられるまで、在宅隔離の予防措置をとるべき。いつ隔離措置を終了するかは、医療機関や保健所と相談して、ケースバイケースで判断する。

【COVID-19感染症で症状のある患者(または検査中の患者)のいる医療機関以外の場所での家族、親しいパートナー、介護者に推奨される予防措置】

医療機関以外の場所におけるCOVID-19患者(疑い含む)との同居者や介護者は、濃厚接触する可能性がある。濃厚接触者は、健康状態を観察する必要がある。COVID-19を示唆する症状(発熱、咳、息切れなど)が発生した場合は、すぐに医療機関に連絡する。(2019年の新規コロナウイルスの可能性がある人のリスク評価および公衆衛生管理に関する暫定米国ガイダンスを参照)

濃厚接触者は次の推奨事項に従う

●患者が医療機関の指示(服薬とケア)を理解し、それに従うことができることを確認する。患者の基本的な在宅ケアニーズを支援し、食品、処方、その他の個別ニーズを支援する。
●患者の症状を観察する。病状が悪化している場合は、医療機関に連絡し、COVID-19に感染している(またはその疑いがあること)を伝える。急変している場合には救急要請(119番)する。その際にもCOVID-19に感染している(またはその疑いがあること)を救急隊に伝える。
●同居者は別の部屋で過ごすか、可能な限り患者から離れる。できるだけ、利用可能な場合、寝室とトイレを別にする。
●どうしても必要な場合を除き、訪問者の受け入れは禁止する。
●ペットの世話は同居者がする。病気のときはペットや他の動物を扱わない。
●共有スペースは風通しを確保する。エアコンを使用する、天候が許せば窓を開けるなど。
●手指衛生を頻繁に行う。頻繁に少なくとも20秒間石鹸と水で手を洗うか、60〜95%のアルコールを含むアルコールベースの手指消毒剤を使用して、手の全表面を覆い、乾くまで擦り合わせる。手が目に見えて汚れている場合は、石鹸と水を優先的に使用する。
●手を洗う前に目、鼻、口を触らない。
●患者と同じ部屋にいる場合には、マスクを着用する。
●患者の血液、便、または唾液、鼻汁、嘔吐物、尿などの体液に触れたり接触したりする場合は、使い捨てのマスクと手袋を着用する。使用後は、マスクと手袋を捨て、再利用しない。個人用保護具を取り外すときは、
①まず手袋を取り外して廃棄する。
③その後、すぐに石鹸と水またはアルコールベースの手指消毒剤で手をきれにする。
③次にマスクを取り外して廃棄し、すぐに再び石鹸と水またはアルコールベースの手指消毒剤で手をきれいにする。
●患者と生活用品を共有しない(料理、グラス、コップ、食器、タオル、寝具など)。患者がこれらの生活用品を使用した後は、徹底的に洗浄する(後述参照)。
●カウンター、テーブルトップ、ドアノブ、バスルームの備品、トイレ、電話、キーボード、タブレット、ベッドサイドテーブルなど、よく触る場所を毎日掃除します。また、血液、便、または体液が付着している可能性のある場所もきれにする。
ラベルの指示に従って、家庭用クリーニングスプレーまたはワイプを使用する。
●洗濯は徹底的に行う
血液、便、または体液が付着した衣服や寝具はすぐに取り外して洗濯する。
汚れたものを扱うときは使い捨て手袋を着用し、汚れたものを体に近づけない。
手袋を外したらすぐに手を洗う(石鹸と水、またはアルコールベースの手指消毒剤を使用)。
洗濯物や衣類、洗剤のラベルの指示を読み、それに従う。一般に、洗濯機の指示に従って通常の洗濯洗剤を使用し、衣類のラベルに推奨されている最も高い温度を使用して完全に乾燥させる。(※佐々木注:新型コロナウィルスは熱に弱いと報告されている)
使用済みの使い捨て手袋、マスク、およびその他の汚染物はすべて蓋つきの容器に入れてから、他の家庭ごみと一緒に廃棄する。これらを扱ったら、すぐに手を洗う(石鹸と水、またはアルコールベースの手指消毒剤で)。手が目に見えて汚れている場合は、石鹸と水を優先的に使用する。
その他の質問については、保健所または医療機関と話し合う。

※ 濃厚接触者の定義
a)長期間にわたってCOVID-19感染者から約6フィート(2メートル)以内にいた(ケアをした、一緒に生活をした、訪問した、COVID-19感染者のいる病院の待合室や居室にいた、など)
–または–
b)COVID-19症例の感染性分泌物と直接接触している(咳をされたなど)

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