平成31年度予算が成立した。各省から発表された資料には、今年から来年にかけての国の医療政策がまとめられている。新年度の特別企画として、各省庁から発表されている資料より、医療・介護・ヘルスケア、そしてITに関連する予算措置を、新しい動きを中心に総覧する。今回は経済産業省が管轄するAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)関連の予算措置をみる。
AMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
医療機器・システム開発とその支援(医工連携)
本年度から医療機器(ハードウェア、AIを含むソフトウェア)の開発パイプラインの支援を拡充させる。新規に、テーマごとのプロジェクト支援に関して約35億円を準備し、従来の医工連携事業化推進事業とあわせてサポートメニューを組んでいる。なお事業化支援に関しては「医療機器開発支援ネットワーク(MEDIC)」のもとで医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)プロジェクトを立ち上げており、現在公募中。
このハンズオン支援に関しては、厚生労働省もベンチャーサポートの観点から医療系ベンチャーサポート事業(MEDISO)を運用中である(こちらは個別相談、支援窓口の性格が強い)。
認知症対策の実証実験フィールド整備
認知症罹患者の数が激増すると予測される中、新たに組まれたのがこの対策予算。枠は極めて少ないが、地域の中で実証実験できるいわゆるリビング・ラボに近いものを想定しているようだ。すでに第1回の採択課題が発表されている。
継続事業(創薬基盤、データヘルス)
これらの継続事業は多くの公募案件の予算根拠になっており、すでに採択課題が出つつあるが、ほとんどが複数回応募を受け付ける案件である。
AMED外での支援事業
医療・ヘルスケア分野を想定した予算は以上だが、経済産業省の他の予算枠の中でも支援対象になりうる事業がいくつかあるので紹介したい。
新規予算で組まれたこの「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」は、医療そのものに貢献するプロダクト・サービスは想定していないが、バックオフィス支援や効率化に資するものであれば対象となる可能性がある。
「地域未来投資促進事業」は、さきほどの「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」と連携して支援も受けられるメニューだ。いわゆる医療機器開発の枠組みで、開発企業が支援を受けるスキームとして想定できる。実際に戦略分野として医療機器が指定されている。
次回は内閣府関連予算について取り上げる。