エイチアイエスの新業態、ロボット活用で業務効率化を図る「変なホテル」。先日、東京浜松町にも開業したが、ここに初めて、ロボットが出迎えるという「AIロボットクリニック」が併設されており話題になっている。
AIとは「愛」!?
4月27日の「変なホテル」浜松町開業を伝えるプレスリリースによると「遺伝子検査や腸内フローラ検査を行い、検査結果に基づくオーダーメードの予防医療や治療を提供、宿泊者以外の利用も可能」で、「アプリを活用した予約システムや、ロボットが受付をナビゲートするなど、変なホテルのロボットによる接客という特徴とも親和性のあるクリニック」とのこと。
この「AIロボットクリニック」について、その他の情報源で調べてみると、Webサイトにはこのような記述があった。
AI(アイ)ロボットと人間愛にあふれる医師のコラボレーション
AIロボクリニックでは人間愛にあふれる医師が皆さまに寄り添います。そしてAI(アイ)ロボットが受付や予約をナビゲート、健康指導にも活躍しています。*AI(アイ)ロボットとは:採用するロボットの総称です。「愛(アイ)」ある医療の提供にロボットが活躍しています
*AI ロボクリニックでは、Pepperが受付や検査の説明をします。(ソフトバンクロボティクスのPepperを活用し、当院が独自に実施しています)
AIといえばここ最近は「人工知能」の略称としてすっかり定着しているが※、どうもそのことではないようだ。あくまで「愛」ということらしい。
しかし、それ以外での診療の効率化に関しては様々な工夫がされている。例えば予約、診療後の決済、次回予約まで専用のアプリを使って行うことになっていて、来院した際もpepperやロボホンなどで省力化を図りつつ予約受付や案内をするとのこと。医療施設でロボットを使う例自体がまだ多くなく、その中でも複数のロボットを同時に使う例はほぼ見られないだけに、目新しさと話題性は十分だ。
※Med IT Tech編集部では、日本で今使われているいわゆる「AI」なる単語は「人工知能」の原義とは違う、という見解を持っています
経営母体「医道メディカル」とは
このクリニックの診療は完全予約、自由診療のみで、標榜診療科目は内科、皮膚科、歯科。同一クリニック内で医科歯科が共にあるのは珍しい形態で、こちらもクリニックの特徴といえよう。「AIロボクリニック」の運営母体を調べてみると、医道メディカルというベンチャー企業であることが分かった。クリニックの近隣に本社を構える開業コンサルや検査ラボ事業を展開する企業で、代表取締役は陰山康成氏。医師と歯科医の資格を両方持ち、医科と歯科、西洋と東洋の医療の枠を越えた「和合医療」を以前から提唱している医師だ。「AIクリニック」の診療方針は、陰山氏のポリシーが色濃く反映されているということのようだ。
このクリニックは宿泊客限定ではないものの、「変なホテル」に併設されているとあって、保険適用の日常診療とは少し違う趣きのクリニックだった。未来のクリニック、という意味では、これもひとつのかたちと言えるのかもしれない。