タレントの当事者が語る乳がん治療のリアル「8時間洗面所に行き通しだったことも」

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9日開催されたヘルスケアベンチャー向けのピッチイベントに、乳がん治療中のタレント、矢方美紀さんが登壇。パネルセッションの中で、これまでの治療経緯やこれからについての思いを語った。

「痛みのないビー玉のようなしこりが」

矢方さんは2018年4月、事務所を通じ乳がんであることを公表。片方の乳房とリンパ節を摘出し、現在は抗がん剤による治療を継続中だ。発見の経緯について、矢方さんはセルフチェックで「ビー玉のような硬く、痛くないしこり」を見つけ、友人の勧めで病院を受診したと語った。

摘出手術後、いくつかの抗がん剤投与を受けている。いま投与中の抗がん剤については相性が良く、それほど副作用を感じていないというが(それでも手足の痺れが多少出るとのこと)、最初の頃に投与されたものは副作用がひどく、10分ごとに訪れる吐き気に耐えられず、8時間もの間、洗面所に繰り返し行き通しだったこともあるという。いまは副作用も少なく、週一回の通院で仕事もでき、ときどき自分は患者なのかな?と思うこともあるそうだ。ただ、いまの抗がん剤治療が終了すれば、ほぼ毎日通院が必要とされる放射線治療が待っており、不安はあるとの素直な心情も告白した。

「失うものもあったが、それだけが私じゃない」

この日の矢方さんは、ウイッグを着用しての登場だった。比較的順調な治療経過とも言えるが、乳房など、失ったものも多い。治療後に乳房の再建を検討しているが、最近はしなくてもいいかな、と考えが変化し始めているという。その理由について矢方さんは「色々失くしたものもあったけど、それだけが私じゃないと思えてきた。そういう考えにしてくれた人たちと出会えたことが大きい」と語った。

「病気になって、学ぶことが多かった。自分のことを真剣に考えてくれる医療者の方がたくさんいらっしゃることを知ることができた。今後も病気と向き合いつつも、つらいこともあると思うが楽しく生きていきたい」と力強く語った。

矢方さんが登壇したイベント「Healthcare Venture KNOT」は、医療ベンチャーを支援するキャピタルメディカベンチャーズとSHIPの共催によるベンチャーのピッチイベントで、このパネルセッション後、合計8つのベンチャーがプレゼンを行った。Med IT Techでは後日詳報する予定。

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