「未来投資会議」で首相発言、官邸主導で医療介護イノベーションが動くか
安倍首相が医療介護の具体的な改革実現を指示
政府は2016年11月10日、第2回の「未来投資会議」を開催し、医療介護分野の「パラダイムシフト」を実現し、2025年問題に向け具体的な改革実現の進め方を討議した。会議にあたり安倍首相は以下のように発言し、政策の具体化を関係閣僚、省庁に指示した。
「団塊の世代が75歳を迎える2025年はすぐそこに迫っている。健康寿命を延ばすことが喫緊の課題であり、2025年に間に合うように『予防・健康管理』と『自立支援』に軸足を置いた新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させる。」
「医療では、データ分析により個々人の状態に応じた予防や治療が可能となる。ビッグデータや人工知能を最大限活用し、『予防・健康管理』や『遠隔診療』を進め、質の高い医療を実現する」
「介護でもパラダイムシフトを起こす。『自立支援』に軸足を置き、本人が望む限り、介護が要らない状態までの回復をできる限り目指す。見守りセンサーやロボット等を開発・導入し、介護に携わる方々の負担を軽減するとともに、介護現場にいる皆さんが自分たちの努力や、あるいは能力を生かしていくことによって、要介護度が下がっていく達成感を共に味わうことができるようにする。」
「特定の先進事例を予算などで後押しするだけでなく、医療や介護の報酬や人員配置基準といった制度の改革に踏み込んでいく。」
(発言は要旨。太字はmedit.tech編集部の修飾)
下部組織の「未来投資会議構造改革徹底推進会合」で既に具体論進む
首相の発言は、先月から下部組織の作業部会である「未来投資会議構造改革徹底推進会合」の医療・介護分野の3回にわたる会合で進んでいる内容を踏まえたもの。部会では「遠隔医療への診療報酬増額」「混合介護の解禁」「要介護度改善に対する国によるインセンティブ設定」などが議論されており、この会合での討議内容に従って、近々の診療報酬・調剤報酬・介護報酬改定の方針も決定されていくとみられる。medit.tech編集部では、個々の動向について部会等の内容を追って解説する予定。