コロナ禍でのオンライン精神科診療、17ヵ国で認められ診療報酬も対面とほぼ同等 格差残存は日本のみ
日本の研究グループが実施した世界17ヵ国・地域の医療従事者への調査研究で、コロナ禍での対応でオンラインによる精神科診療がほぼ認められ、ほとんどの場合において診療報酬も対面の場合とほぼ同じ評価となっていることが明らかになった。調査対象となった国の中で日本は唯一、対面との報酬格差が残ったままだという。
コロナ禍で格差を設けていた国もほぼ同等へ改定 日本は格差残る
調査研究を行ったのは、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の木下翔太郎助教と岸本泰士郎専任講師らの研究グループ。17ヵ国・地域※の医師ら30人に対し自国の遠隔精神科診療について調査したもので、コロナ禍前の2019年末と、発生後の2020年5月時点を設定し、それぞれの時点での遠隔精神科医療の規制や保険による償還状況、対面との報酬格差などについてアンケートした。
それによると、17ヵ国・地域のうち日本を含む13地域がコロナ禍による規制緩和を行い、調査したすべての地域で遠隔精神科医療が公的医療保険のもと可能になっていた。そのうち、4ヵ国ではコロナ禍前は対面とオンライン診療で報酬格差が設けられていたが、規制緩和の際撤廃されていたことも明らかになった。日本は時限的な措置としてオンライン診療による精神科医療も認められているが、診療格差は他の診療科と同様に残っており、調査対象の中では唯一格差が残っている国となっている。この調査は論文として、イギリスの科学雑誌「Psychological Medicine」のオンライン速報版に2020年11月27日(英国時間)付で公開されている。
なお同教室では現在、コロナ禍における精神保健上の研究として「COVID-19の世界的大流行とそれに伴う対策が心身の健康に与える影響の国際調査」 をWeb上のアンケート形式で行なっている。
※調査実施国・地域 アメリカ、イギリス、イタリア、インド、エジプト、オーストラリア、カナダ、韓国、スペイン、台湾、中国、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ブラジル、南アフリカ