インテグリティ・ヘルスケア、オンライン「問診」「診察」「モニタリング」を可能とするシステムを提供開始

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インテグリティ・ヘルスケアは、医療機関向けオンライン診療システム「YaDoc(ヤードック)」を2018年1月9日より一般提供すると発表した。「モニタリング」「オンライン問診」「オンライン診察」の3つの機能を搭載するオンライン診療システムで、医師が通常の診療では捉えにくかった情報の集積を可能にするとともに、医師と患者の双方向のコミュニケーションを深めること、さらには,通常の医療の提供が困難な患者さんのアクセシビリティを向上することで対面診療を補完し、より一層の診療の質向上に貢献するものとしている。

福岡での実証事業の知見を投入

同社は今回の一般提供に先駆け、昨年より、福岡市・福岡市医師会とICTを活用した『かかりつけ医』機能強化事業(既報)にこのシステムを活用し検討を重ねてきており、一般提供開始にあたっては、この事業で得られた知見が盛り込まれている。

https://staging.sakura.ne.jp/medit/ambitious-experiment-using-telemedicine-started-in-fukuoka/

この事業は、超高齢社会への対応を目指し展開する福岡市の政策パッケージ「福岡100」のひとつとして、自治体、医師会と協働で取り組んだモデルケースとして注目された。規制改革推進会議や中医協においても、遠隔診療のあり方を検討するための事例として取り上げられている。

「モニタリング」「問診」「診察」を
一括してオンラインで実現

YaDocは対面診察を補完するシステムとして、テレビ電話による診察だけでなく、患者のバイタルを時系列で俯瞰できるモニタリング機能、各学会で公開されているガイドラインで推奨された問診票・スケールを採用した問診機能も搭載した。

iPhone「ヘルスケア」と連動、
多彩な機器から値を取得可能

モニタリングできる値の入力はiPhoneの「ヘルスケア」アプリを通じ取得する仕様としており、このアプリに対応している機器であれば自動的に値が入力される。また導入施設側では、患者ごとにモニタリングする項目を設定できるほか、患者ごとの値は時系列で一覧できるようなっている。体重/血圧/脈拍/血糖値/SpO2 /歩数 /消費カロリー/水分摂取量/ 飲酒量 / 喫煙本数 / HbA1c などが取得できるが、今後も追加予定という。

 

ガイドラインに収載された問診票を多数採用

オンライン問診機能では、各学会で推奨されている診療ガイドラインに含まれているものを多く採用。内科一般 / 循環器内科 / 呼吸器内科 / 消化器内科 / 泌尿器科 / COPD (CAT) / 前立腺肥大症 (IPSS) / 過活動膀胱 (OABSS) / 関節リウマチ (MDHAQ / RAPID3 ) / 認知症 (DBD-13) / 整形外科 (VAS) の13のガイドラインを現時点では搭載し、今後も追加していく。

問診票に関しては、実証事業での経験や検討を活かし何を採用するか吟味したという。例えば認知症では、認知症専門医をアドバイザリーとして招き、問診の価値である「患者もしくは家族が、自身の疾患の様子を伝えやすい」ものとしてDBDを採用した。問題行動を言葉で説明できなくても数値で確認し、その推移を可視化できることを目指している。

「認知症治療においては、投薬だけではなく、コミュニケーションや運動といった外部からの働きかけが大事であり、患者を支える介護者のケアが重要という考えのもと設計を行いました。 問診では、日常生活の状況を介護者が回答する形をとっており、その中で、問題行動とみられる選択肢を選択した場合、DBD-13の設問が繰り出される形をとっております」と、Med IT Techの取材に対し、インテグリティ・ヘルスケアの福田佳那子氏は回答した。

オンライン診察の機能だけでなく、遠隔での患者の状態を構造的に取得、評価できる仕組みも搭載したこのシステムは、今春保険収載が予定される遠隔診療のツールとして、診療の評価がしやすいという意味で活用しやすいと考えられる。すでにさまざまなシステムの参画で群雄割拠の状態といえるなか、YaDocが提示する「対面診察の補完としての機能」を充実させたモデルが、市場にどう受け入れられるか注目される。

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