扁平足に対する治療用インソールの効果をセンサで測定 帝京大溝口病院とNEC

 帝京大学とNECが、IoT技術を活用した治療効果の「見える化」に取り組むと発表した。帝京大学医学部附属溝口病院(神奈川県川崎市)で実施される、扁平足患者の歩容への治療用インソールが与える影響を検証する研究にNECの歩行分析センサを投入する。研究はこの9月から2023年3月まで実施され、臨床で簡単に利用できる定量的評価法の確立を目指す。

治療用インソールにIoTセンサを組み込む

帝京大学が作成した医療用インソールおよびNECの歩行分析センサ

 扁平足は成人の約15%が発症する比較的ポピュラーな疾患で、症例の大部分を占める軽症例ではインソールによる治療が多く用いられる。しかし、その治療効果については患者による主観的な評価が中心で、モーションキャプチャーなどを使用した評価法もあるが、大掛かりな機器が必要で実施場所も限定されるなど医療・リハビリの現場での利用には課題がある。

 今回、溝口病院整形外科の笠井太郎助手、安井哲郎教授とNECは、共同研究としてNECの歩行分析センサを取り付けた治療用インソールを作成し、患者の歩容を定量化して客観的評価を行う研究に着手する。センサは「歩行速度」「歩幅」「接地角度」など大きく分けて6種類のデータを測定することが可能で、測定されたデータは自動的にスマートフォンを経由してクラウドに送信される。NECは独自の「歩容推定モデル」を知見として持っており、センサが測定した歩行軌跡を基に歩容を推定し、溝口病院は治療用インソールによる歩容の変化を解析する。研究はこの9月から2023年3月までで、両者は研究成果を通じ、医療・リハビリの現場で容易に利用可能な定量的評価方法の確立に取り組むとしている。