日本内科学会が「J-CaseMap」を会員向けにリリース 独自の検索アルゴリズムを開発し6,000症例登録

NEWS

日本内科学会は2020年8月11日、学会員向けに、鑑別診断の際に参考となる疾患や病態を検索できるシステム「J-CaseMap」をリリースした。AMED(日本医療研究開発機構)のICT基盤開発事業のひとつとして採択された成果で、まずは診断困難例6,000例が登録された。なお検索アルゴリズムの一部は特許登録されている。

症例報告データを構造化 類似症例の検索、複数病態の原因疾患の推測が可能に

(動画:平成30年度AMED ICT関連事業成果報告会より研究代表者永井良三氏の報告部分。AMED公式チャンネルより)

今回リリースされた「J-CaseMap」は、内科学が扱う多彩な症例を総合的に研究する一助として開発されたシステムだ。症例報告の文脈と鍵となる医学用語の関係をグラフ表示するもので、視覚的および体系的に類似症例や、複数の病態から推測される原因疾患について示唆を得られる。この研究事業は2016年にAMEDの臨床研究等ICT基盤構築研究事業「人工知能による総合診療診断支援システムの開発」(研究代表者:永井良三)」として採択されたもの。

採択を受け、自治医科大学の医師をはじめとする約150名の内科医が中心となって約2万例の症例の論理を図式化。その後の修正を研究代表者であり、自治医科大学学長の永井氏自身が行って6,000例に絞り込み、システム開発を進めた。検索ソフトウェアの開発は小田啓太氏(元Googleエンジニア、自治医科大学データセンターサイエンスセンター特別特命准教授)、今井健氏(東京大学疾患生命工学センター准教授、自治医科大学データセンターサイエンスセンター特別特命教授)、佐藤寿彦氏(プレシジョン社CEO、医師)が分担して進めた。検索アルゴリズムの一部は、日本内科学会と開発者が共同出願し特許登録されている(特許6539818)。

リリースにあたりメッセージを寄せた永井氏は「症例をもとに医学用語の概念を構築する活動は、内科学の全体性回復につながると考える」と述べ、今後のシステム拡充に意欲を見せた。日本内科学会によれば、今後登録症例を増やしていく予定という。

外部リンク:日本内科学会 診断困難例ケースリサーチ「J-CaseMap」について

 

関連記事

NEWS

Posted by Shigeru Kawada