ゲノム・オミックス解析情報の公開データベース「jMorp」大幅拡充 メタボローム解析情報も拡張

NEWS

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、疾患の比較対照として有効な公開データベース日本人多層オミックス参照パネル「jMorp」の収載データ数を大幅拡充したと発表した。全ゲノム解析データを約8,300人、メタボローム解析データを約2.5万人とし、日本人基準ゲノム配列も再構築し「JG2」として公開した。

当初目的数を達成、「日本人全ゲノムリファレンスパネル」としてさらに改良へ

「jMorp(Japanese Multi Omics Reference Panel)」 は、東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査で得られた試料解析結果を、個人識別性のない頻度情報等にして公開したデータベース。2015年7月、世界で初めて500人以上の血漿に対する網羅的メタボローム及びプロテオームの統合解析結果を公開し、以後収載データの量と種類を増やしてきた。2018年にはゲノム解析情報を、2020年には岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)による解析情報を追加、現在ではゲノミクスだけでなくエピゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテ オミクス、メタボロミクスといったヒトに関わる生命科学の総合的な情報を網羅的に収載するリファレンスパネルとなっている。

今回、全ゲノム解析情報について、2019年4月時点の収載数約4700人(4.7KJPN)の1.7倍以上となる約8,300人(8.3KJPN)に大幅拡充した。これまでの4.7KJPNに含まれていた検体を引き継ぎつつ、外部のコホート研究との連携により東日本・西日本両方からの協力者の情報を追加し、より代表性の高いゲノム情報になっているという。これにともない、日本人基準ゲノム配列についても3セットから6セットのゲノム配列とし、精度を大幅に向上させた「JG2」として公開している。

メタボローム情報については、収載数を約1.5万人から約 2.5 万人に拡張。約2.5万人分のメタボローム情報は世界最大級の収載数であり、また最新の測定キットの使用により、一部について測定代謝物の数が大幅に拡張されており、こちらは世界初だとしている。

同機構は、ゲノム情報について当初目標の8,000人を達成したことで、日本人が持つアレル頻度0.01%以上のSNVデータをほぼ収集できたとし、希少疾患まで含めた遺伝疾患の原因解明に活用するなど、当初計画より幅広い利用が見込めるとした。今後は非常に解析が難しいY染色体の情報や、これまで収載しているSNV・INDEL頻度のほかに、構造多型の頻度情報を収載することも検討し、「日本人全ゲノムリファレンスパネル」としてブラッシュアップを続けるとしている。

関連記事

NEWS

Posted by Shigeru Kawada