コミュニケーションロボットを介したオンラインでの運動・食事指導の実証実験、一定の効果実証 三重県桑名市

 三重県桑名市で1月から約2ヵ月間行われていた、専門家がコミュニケーションロボットを介してオンラインで運動および食事指導を行う実証実験の検証結果が公表された。被験者のフレイルリスクが改善されたほか、コミュニケーションロボットならではの機能によって高い継続率が達成できたという。

フィットネス、データ解析、ロボットの事業者が参画

 今回の検証は、三重県が国内外の企業からアイデアを募集し、開発サポートや実証・社会実装の支援などを行う「クリ“ミエ”イティブ実証サポート事業」の一環。フレイル予防の一環として、コロナ禍対応も含めリモートでの運動・食事指導の効果を探るもの。指導面でパーソナルフィットネス事業を行うRIZAP、データ解析などでJDSC、リモートでのコミュニケーションをユカイ工学が担当する共同事業として実施された。参加者は市内60代~70代の男女21名が対象で、ユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO emo」を使用し、RIZAPトレーナーが約2ヵ月にわたって自宅との遠隔で運動と食事指導を行った。

フレイルリスクが改善、継続率も高い数値で維持される

被験者にフレイルを示唆する指標のひとつである「簡易フレイルインデックス」に基づいた評価を事業前後に実施したところ、開始前は10人になんらかのリスクがあったところ、2ヵ月の継続的な指導を経たあとは7人に減少。特に赤信号とされた人はゼロになった。また、毎週土曜日に全員に対しリモートで同時に運動指導を行っていたが、参加率、継続率ともに高い推移を示した。事業を実施した3社らは、今回行った身近な電力消費量からの非接触センシングを活用してのフレイル検知AIを用いたフレイル判定、高齢者の運動プログラムによるフレイル状態の改善などを通じ、健康寿命延伸への貢献の可能性を示せたとしている。

実証実験概要

・実施期間:2022年1月8日(土)~ 2月26日(土) ※約2カ月
・実施場所:三重県桑名市
・実施方法:RIZAPトレーナーによりコミュニケーションロボット「BOCCO emo」を使用した自宅での遠隔による運動指導と食事指導
・電力データ取得によるフレイル検知:2022年3月30日(水)まで実施 ※一部フレイルチェックは2021年12月に実施
・参加人数:21名 (男性:11名/女性:10名 ) ※一般募集&市役所からの声掛けを頂いた
・年齢平均:61.8歳 (男性:63.5歳/女性:60歳)
・最高年齢:男性:74歳/女性:72歳
・プログラム内容:毎週土曜日 17:00から40分間3種目のトレーニング、毎日の宿題として10分間、土曜日に行なったトレーニングを繰り返し実施

実行・検証体制