2020年8月6日、「第10回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」が都内で開催された。現在時限的に認められている電話やオンラインでの診療実施の要件緩和の特例について、コロナ禍の収束が見られない現状を鑑み3ヵ月の延長を認めた。また提出された資料から、初診からの実施件数において、電話診療がオンライン診療を上回っていることが明らかになった。
「0410対応」、3ヵ月延長決定
対面診療による感染機会の削減を目的に、2020年4月10日より厚生労働省の事務連絡を根拠として、電話・オンラインでの診療、服薬指導の実施要件緩和が時限的に認められている。この日開催された検討会は、本来はガイドライン見直しについて議論する会議体だが、事務連絡で3ヵ月ごとに収束状況を見極め措置の終了、延長を決定することとなっていることから、この検討会でその判断を行うこととなっている。
会議では事務局である厚労省を中心に、このいわゆる「0410対応」について対応医療機関の数の推移や実施件数、新規感染者数の推移などの報告がなされ、収束をみせていないとして措置の3ヵ月延長が了承された。他方、この措置については、内閣府が主管する国家戦略特区諮問会議や規制改革推進会議などから恒常化の提案がなされており、年内の方針決定が見込まれている。事実上、その結論が出るまでは、コロナ禍が完全に収まらない限り延長の決定が繰り返されるものとみられる。
全体として電話診療が多数、受診勧奨の少なさについて懸念示される
この日は事務局から、時限的措置が開始された4月〜6月までの統計データが報告された。時限的措置に対応し、電話診療・オンライン診療を行うと表明している医療機関は全国で16,202施設(医療施設全体※の14.6%)、そのうち初診からでも対応する施設は6,801施設(同6.1%)となっている。また初診からの電話およびオンライン診療の実際の対応件数をみると、総数はのべ21,007件(4月5,500件、5月9,746件、6月5,761件)で、オンライン診療は5,608件、電話診療は12,011件となっており、電話診療の方が一貫して多く利用されていることが分かった。
対応の中身についても解析されており、遠隔での診療に適さないとされる出血等の症状に対し受診勧奨した件数が少ないことや、二次医療圏を大きく越える遠隔地の患者に対する診療が行われたケースがあること、時限的措置の要件に履いていない向精神薬の処方が、少数ではあるものの行われている例が散見されたとした。今後も3ヵ月ごとに、医療機関からの報告を元に実施状況を確認することになるが、次回はそれに加えて受診者からも調査を行うことが示されている。
※医療施設動態調査における病院および一般診療所の数の合計110,898施設(令和2年4月末時点での概数)
電話、オンラインの服薬指導は全体の0.51% 配送は配送業者利用が大多数
電話およびオンラインでの服薬指導についても、診療が同様に行われた場合に実施可能となるが、4月〜6月に実際に実施された件数は68,849件と、処方箋発行数に対して0.51%であることが分かった。全体の発行数から見れば極めて少数だが、診療実施件数から考えれば、電話やオンラインでの診療を受けた患者は、そのまま高い割合で同様に非対面の服薬指導を受け、処方薬の配送を受けたことが推定される。