被保険者番号を「医療等ID」として運用へ 厚労省が仕様まとめる
2018年8月13日、厚生労働省は、医療等分野情報連携基盤検討会における医療分野の情報連携の識別子についての議論を取りまとめた報告書を公表した。従来より構想としてあった、いわゆる「医療等ID」については、被保険者番号を個人化したものを充てることが正式に表明された。
「既存のシステムやインフラの活用が可能」
この日公表された文書ではこれまでの検討経緯を振り返りながら、新たな識別子(ID)を発行する場合、新システムの構築や医療機関側の既存システムの改修が必要になると指摘する一方、各保険者が現在運用している被保険者番号を活用する場合は、既存のシステムやインフラの活用が可能で、コストを極力抑え、効率的に医療情報等の共有・収集・連結を行うことが可能とした。ただ前提として、個人情報保護の観点から番号提供の受けることができる者を一定の要件で制限をかけることとしている。ガイドライン等の整備をあげているが、詳細については、活用に関する本人同意のあり方も含めて今後検討するとしている。
厚労省では活用イメージとして①公的データベース内での名寄せ、データベース間でのデータ連結、②臨床における情報連携の2つがあるとし、前者では、単に同一データベース内での名寄せ目的で活用する場合であっても、目的が法令等において明確にされていること、適切な組織的、物理的、技術的、人的安全管理措置が講じられていることなど一定の基準を満たしている必要があるとした。データベース間での連結についてはそのほかに、それぞれの利用目的や情報同意の状況が異なる可能性もあることから、個人を識別できる情報を一方向変換し、容易に書き取りのできない共通の連結符号を使ってデータ連結する仕組みであるべきとした。
後者の臨床での連携については、現在各地で運用されている地域連携ネットワークにある患者の医療情報と、被保険者番号を紐付けるための全国共通の「名寄せシステム」が必要としている。つまり「この被保険者番号の医療情報はこの地域連携ネットワークに存在する」ということが記載されるシステムである。このシステムの詳細については引き続き検討とされた。
「オンライン資格確認」と歩調を合わせる
なお、世帯単位である被保険者番号を個人化したものを活用することについては、並行して社会保障審議会医療保険部会で検討されていた。保険請求時の事務処理等を効率化するため、オンライン資格確認を導入するにあたり必要とされたもので、2020年4月から随時、個人を識別する2桁の新たな番号を付与した保険証が配布される予定だ。