厚労省、情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン公表

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厚生労働省は2017年9月12日、各都道府県知事に対し、医政局長名で「情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等の取扱いについて」の通知を発出、ガイドラインを公表した。

研修を受けた看護師が立ち会うなど5条件の充足が要件

このガイドラインは、先年閣議決定された「規制改革実施計画」において示された要件を具体的手順等に落とし込んだもの。過疎と高齢化、地域医療の資源が枯渇しつつある地方において、医師が遠方にいるなどして死亡診断が遅れ、円滑な死亡診断書発行、埋火葬ができない恐れが増加している。そのため、それを回避するため住み慣れた地域から離れた病院に入院したり、逆に医師のいる場所までの長距離輸送を余儀なくされるケースも出てきており、対応が望まれていた。

ガイドラインでは、以下の5項目をすべて満たすことを条件に、研修を受けた看護師から得た情報をもとに遠隔にいる医師が死亡診断を行なうことを認めている。

 

(a)医師による直接対面での診療の経過から早晩死亡することが予測されていること

(b)終末期の際の対応について事前の取決めがあるなど、医師と看護師と十分な連携 が取れており、患者や家族の同意があること

(c)医師間や医療機関・介護施設間の連携に努めたとしても、医師による速やかな対 面での死後診察が困難な状況にあること

(d)法医学等に関する一定の教育を受けた看護師が、死の三兆候の確認を含め医師と あらかじめ決めた事項など、医師の判断に必要な情報を速やかに報告できること

(e)看護師からの報告を受けた医師が、テレビ電話装置等の ICTを活用した通信手段を組み合わせて患者の状況を把握することなどにより、死亡の事実の確認や異状 がないと判断できること

 

ガイドラインではこの5項目それぞれに、さらに細かな指針を列挙している。(d)にある「法医学に関する一定の教育」については、本年度内に研修を開始する予定。研修対象の看護師は「実務経験5年以上、その間に患者の死亡に立ち会った経験3例以上かつ、看護師としての実務経験のうち、訪問看護または介護保険施設等において3年以上の実務経験があり、その間に患者5名に対しターミナルケアを行った看護師」だという。

要件(e)に挙げられる「テレビ電話装置等の ICTを活用した通信手段を組み合わせて患者の状況を把握する」について、機器の要件としては

 

① リアルタイムの双方向コミュニケーション
・ LTE 環境もしくはそれに相当する動作環境
・ 映像と音声によるリアルタイムの双方向コミュニケーションが可能な端末

② 文書及び画像の送受信
・ 適切なセキュリティ下で文書及び画像を送受信できる体制
・ 文書や画像を送受信できる端末

 

の両方が満たされるものとしている。

 

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