厚労省「AI活用推進懇談会」を設置、初会合 委員に多くのAI研究者を招請

 

公開資料より

厚労省は2017年1月12日、省内に「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」を設置し、初会合を開いた。3-4回の議論を経て春には報告書を作成、施策に反映させる。構成員には、実際に臨床でAI活用の先端例を作りつつある研究者を招請し、実のある議論へ繋げたい考えだ。

 

開発基盤整備・質とセキュリティの確保に向け議論

懇談会でははじめに、今後想定される活用領域を整理し(上記資料参照)、それらの推進のために必要な開発基盤の整備や、質・セキュリティの確保に何が必要かについてを主に検討していく。基盤整備に関しては研究する医療機関やベンチャー企業に対する支援の必要性についてなどが話し合われる。質・セキュリティに関してはAIを元にした診断に誤りがあった場合の責任の明確化や、差別に繋がらないよう配慮する必要性についても議論する予定だ。

 

AI開発に取り組む研究者が懇談会に参加

議論はすべて非公開で行なわれる予定だが、参加する研究者には、まさにいまAI開発に取り組む研究者が複数人選ばれている。まず、座長には既報の通り産総研、Preferred Networksと3者でAIを活用した「統合的がん医療システム」を研究開始する国立がん研究センター研究所の間野宏行所長が選ばれた。委員には、対話型AIによる総合診療支援システム『ホワイト・ジャック』を研究する自治医科大学の石川鎮清教授、昨年夏に、実際に希少がんの診断確定に寄与し大きな話題となった、IBM Watsonをベースとするゲノムデータベースによるがん診断支援を研究する東京大学医科学研究所の宮野悟教授も入っている。そのほかにも、創薬や遠隔医療の分野で実際に先端的事例を創出しようとする研究者が招請されており、実効的な議論が期待される。