「オンライン診療のための診療所開設」要件緩和へ へき地や高齢者対応で、厚生労働省

 厚生労働省は5日、社会保障審議会医療部会を開催した。この中で同省は、オンライン診療をへき地やデジタルリテラシーの低い高齢者へ適用しやすくし、医療資源の効率的な活用を進めるための方針を提示した。

「医師が常駐しない診療所の開設」「巡回医療の特例」をオンライン診療実施のため適用拡大へ

 今年6月に閣議決定された政府の骨太の方針では、医療DXの実現のためにオンライン診療の適用拡大、そのための課題の整理、法制度上の整備が求められている。その一環として、医療資源が不足している地域、あるいは自宅にデジタルデバイスのない患者、または使い方に不慣れな高齢者のために、自宅以外の公民館といった身近な場所で、医療介護従事者が機器操作を手伝い、医師が遠隔でオンライン診療行うフローを認めるよう議論が進められてきた。5日の会合ではこれまでの議論を踏まえて、厚生労働省側が実現するための枠組みを示した。

厚生労働省資料より

 具体的には、現行の特別措置法などで認める「医師が常駐しない診療所」の開設をオンライン診療目的においても認めること、さらに、巡回医療の特例ですでに定められている「週2回以上の反復継続はしない」「3日以上連続しない」要件をオンライン診療においても適用し、実施計画の届出のみで可能とすることを提示した。この2つの要件緩和は並立したもので、地域事情により常設が望ましい場合は診療所開設、そこまでニーズが見込めない場合でも、巡回医療の特例で対応できるようにしたものだ。今回提示された枠組みはこれまでの議論を踏まえたものであることから構成員からは特に異論は出ておらず、この方向性で年度末までに結論が出される見込みだ。

資料リンク:第94回社会保障審議会医療部会(厚生労働省)遠隔医療のさらなる活用について(厚生労働省資料)