厚生労働省、中医協で「オンライン診察」とその「医学管理」の報酬評価を提示

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2017年12月1日、東京都内で中央社会保険協議会総会(第375回)が開催された。会議の中で、厚生労働省は遠隔診療を診療報酬上評価するための基本的な考え方と、報酬体系の具体案を提示した。

「オンライン診察料」「オンライン医学管理料」新設を提示

厚生労働省は、遠隔診療を診療報酬上評価するにあたって、前回11月1日の議論を整理したかたちで以下の基本的な考え方をまず示した。

 

 

(出典:2017年12月1日開催資料より)

 

なお、この考え方に示されている「一定のルール」とは、前回11月1日の会議で策定を了承されたガイドラインのことで、現在本年度末までをめどとする策定のための研究会が設置され、この中医協と並行して議論が進むと思われる(既報)。その上で、現在遠隔診療の算定に使用されている電話再診と、「オンライン診察」は整理する必要があるとして、「オンライン診察」の報酬設定を提示した。

 

この提示に対して、委員の議論の中では対面診察との差をつけることに異論は出なかった。委員からは具体的に、オンライン診察は対面と比べ触診、聴診ができない点や、同様に電話再診の場合は問診しかできないことを踏まえ、これらを考慮した差を設定するような提案もあった。今後の議論では「対面>オンライン診察>電話再診」といった報酬上の体系づけについて話し合われそうだ。また、月1回までの算定とする上限設定も提示された。

オンライン診察を組み合わせた患者の継続的な医学管理についても、以下のように整理された。

すでに患者を継続的に医学管理しているケースで、対面診察の継続を前提に、それに有用と考えられるもの、あるいは在宅の訪問診療においては医師の負担軽減に有用と考えられるものについて診療報酬上の評価を提示した。オンライン診察同様に月1回の算定上限も提案されている。

 

5つのユースケースを提示

厚労省はさらに、これら2つの診療報酬設定を踏まえた算定のユースケースを5つ例示している(クリックするとギャラリー表示)。

 

在宅において2つ、外来において3つのケースを例示しているが、在宅においては、在総管を算定できる月1回以上の訪問診療のケースに限った。外来においては、オンライン診察を組み合わせることで、対面診察の間隔を2ヶ月ごとに延長できるものも提示している。

 

「対面診察の補完」としての位置付けを報酬上も明示か

今回厚労省が提示した案は「オンライン診察」「オンライン医学管理」、その両方を算定できるとするなど実態に即した整理がなされていると見ることができるが、注目されていた「オンライン診察の初診の評価」は提示されず、月1回の算定上限も示唆された。診療側、支払側双方の委員の要望をバランスよく取り入れた内容といえ、今回の提示で事実上評価の枠組みは定まったといえる。

今後の焦点は、診療側委員の一部であがっている「月1回の対面診療」の基準を厳格に要求する要件になるかと、オンライン診察に必要な機器等の要件の詳細だ。特に後者に関してはさきに設置された研究会でも議論されるが、すでに多数のベンダーが参入している状況だけに影響は大きく、非常に注目される。

なおこの日の会議では、そのほかに「ICTを活用した連携」として、対面によるカンファレンスを求めている「退院支援加算1」などの複数の診療報酬項目について、一部をオンラインによるものを認めるとする弾力的な運用を認めることや、ICTを活用した遠隔死亡診断に対する報酬設定などが了承された。

 

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