厚生労働省が31日付で、「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」を正式に発出した。パブリックコメントで指摘されていた点についていくつか対応したほか、一部不明瞭だった用語の定義も明確化した。「受診勧奨」機能があれば医療機器となる要件を示していた件については、「範囲が広すぎる」といった複数の指摘を踏まえ、該当部分を削除している。
「医療機器プログラム」「プログラム医療機器」の語義を明確化など
同省は既報通り、2月3日付でガイドラインの原案を示し3月4日までパブリックコメントを募集しており、寄せられた意見を踏まえ一部を改修、正式版を3月31日付で発出した。Med IT Techではコメントを受け改修した内容を中心に、概要を以下にまとめた。
1.語義を改めて定義、対象範囲をよりクリアに
まず発出されたガイドライン本体の最初で、「医療機器プログラム」は「プログラム単体として流通する製品」、「プログラム医療機器」は「上記に加え、プログラムを記録した記録媒体も含むもの」として改めて定義した。これはいわゆるアプリマーケットなどで流通する単体のプログラムと、汎用機器、あるいは医療機器とセットで使用することが前提のプログラムを分類したことを示している。
これに関しては、例えば先日承認されたApple Watch の心電図アプリ、CureAppの禁煙治療用アプリのように、実際に何らかの機器とセットで使用することを想定するプロダクトが実用化されたことを踏まえているものとみられる。またプログラムが複数の機能を持っている場合についても、そのうちひとつが医療機器プログラムの定義を満たせば「全体として」医療機器としての流通規制を受けるとしていたが、パブリックコメントでの指摘を受け「同時に流通する不可分なプログラムをいい、別々に流通可能なものは全体に含まれない」と注釈をつけた。「全体」の範囲がApple Watchのような一般向けのウェアラブルデバイス、またはIoT機器そのものに及ばないよう明確化したものとみられる。
2.別紙のフローチャートを改修
今回正式発出されたガイドラインの最後にある、該当性を判断するためのフローチャートもコメントを受け改修されている。主なものは2点で、1点目はチャートの最初に「疾病の診断・治療・予防を意図しているか?」という問いを差し入れたこと。医療目的かそうでないかで最初に分けることで、妥当性を担保する狙いとみられる。2つ目はそれを前提として、その後に医療機器の国際的分類の枠組みである「GHTFルール」に基づいたクラス分類と照らし合わせるよう求めていること。基本的にはハードウェア医療機器のための分類だが、プログラムの場合「非侵襲(クラス I )相当であれば非医療機器」とする基準を明確にした。チャートの順番から考えれば「診断・治療・予防」を意図していても、情報処理がクラス I と同等なら医療機器ではないと判別できることになる。
3.「受診勧奨」関連の記述を削除 基準提示は持ち越し
原案段階で示されていた内容のうち、大きなものとして「受診勧奨」に関する記述があった。個人・家庭向けのプログラムに対する該当性の判断基準のひとつとして「(入力情報を基に)医療機関への受診勧奨」の有無が記載され、フローチャートの相当する部分にも組み込まれていた。これに対し、複数のパブリックコメントで「入力情報」「受診勧奨」の定義について明確化するよう要望が出されていた。
同省は正式版をまとめるにあたり、「受診勧奨」の用語自体を文書およびフローチャートの該当部分から削除した。この点に関するコメントの多さなども勘案したとみられ、パブリックコメントへの回答では「意見を踏まえ取り扱いについて検討中」としている。
外部リンク:
プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて(厚生労働省:薬生機審発0331第1号)
「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」(案)に関する御意見募集の結果について(e-govパブリックコメント)