NII 「匿名加工情報」の適正な加工の方法に関する報告書を公表
2017年2月21日、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所は、「匿名加工情報の適正な加工の方法に関する報告書 2017年2月21日版」を公表した。5月末に完全施行される改正個人情報保護法においてもっとも注目されている「情報の匿名化」の手法について、所内のワーキンググループで検討した結果をまとめたもの。
委員会規則に沿って手法を個別検討
改正個人情報保護法では、法律の所轄組織となる個人情報保護委員会の定める委員会規則に則った個人情報の匿名化を行なえば、許諾なしの第三者への提供ができるとされている。データの広汎な利活用は企業にとって大きなビジネスチャンスとなるだけに、匿名化の要件を定めた委員会規則を、どのように技術仕様へブレイクダウンさせるかが課題だ。NIIはこのワーキンググループ内でのべ70時間以上も議論を重ねたという。
まず、委員会規則第19条に定められている5つの措置について個別に検討を行い、対象となる個々の項目、記述についてできるだけ類型。次にそれらに対する匿名化の方法として考えられる「削除」「置き換え」などの有効性を、規則で求められている不可逆性、連結容易性の排除などの観点で検討し、かなり具体的なユースケースにまで落とし込んで解説するものとなっている。
なお改正個人情報保護法における医療情報、いわゆる機微情報の取扱いについては、法律の規定では「要配慮個人情報」と再定義されているが、学術研究の情報取扱については例外として別途定めることとなっている。その上で、3省合同会議で医学研究等倫理指針の見直しが行なわれ、学術研究の範囲内、研究機関の間での情報提供においては、現状広く行なわれている「連結可能匿名化」を運用できることが決まり、現在各研究機関向けに説明会が開催されている状況だ。