Pepperを活用した失語症患者向けリハビリサービス開始 君津中央病院に導入

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2017年1月27日、人型ロボットPepper用アプリ開発やスマートフォン・タブレット用アプリの開発を手掛ける株式会社ロボキュアは、Pepper上で動作する失語症者向けリハビリアプリ「ActVoice for Pepper」とリハビリを管理できるPC用アプリ「リハログ」の提供を開始し、国内初の導入先として千葉県の国保直営総合病院君津中央病院での運用を開始したと発表した。

失語症のリハビリを、より効果的かつ楽しいものへ

失語症のリハビリは長い期間のリハビリが不可欠だが、病院で長期間行なうことは医療保険上難しく、また介護保険では、慢性的な言語聴覚士不足から、失語症者が言語聴覚士と一対一でゆっくり向かい合って行なう訓練を受け難しいという課題がある。そこでロボキュアでは、ロボット対話および失語症のリハビリアプリ開発に知見の深い千葉大学工学部の黒岩眞吾教授との共同研究を開始。「より効果的かつ楽しいリハビリを無人で実現する」ことを目標に、人型ロボットPepperを使ったリハビリシステムを提供することとなった。

訓練を行なう「ActVoice for Pepper」では、呼称訓練をPepperが患者に対して行なう。患者は症状に応じてコースの難しさを選び、胸部タブレットに表示された絵が何であるかを声で回答する。表示する絵は患者の症状の度合いに合わせて選ぶことが可能だ。君津中央病院では既に複数患者での実証実験を行い、訓練を行った語に改善が確認されているという。

「リハログ」の活用例(リリースより)

一方、「リハログ」は言語聴覚士が活用するPC用アプリ。言語聴覚士はリハログを活用することで、Pepperでのリハビリ状況を随時正確に確認することが出来、また必要に応じ訓練内容を調整することも可能だ。また患者の訓練データを収集・分析し、リハビリによる改善状況の把握や患者の症状を正確に把握することが出来るとする。導入にかかわった君津中央病院言語聴覚室の言語聴覚士、村西幸代氏は「リハログには正答に至った単語とそうでない単語や言い誤り方が記録として残されているため、呼称訓練中に同席出来なくても、後からしっかりとフィードバックをする事が出来ます。また正答率を元にパソコン操作1つで簡単に訓練カードの入れ替えも出来ますので、今まで時間を要した絵カード探しの手間が省けてとても便利です」と述べた。

開発元のロボキュア代表、森本暁彦氏は「現状では訓練内容も限られていますが、今後より多くの方に利用していただけるように開発を続けていきます。当社のアプリを使えば、反復練習で効果が期待出来るような訓練においては、言語聴覚士がやらなくてもよくなります。そして、練習内容をICT機器の得意とする側面と言語聴覚士にしか出来ない側面とに分ける事で、失語症者に効率の良い、質の高い言語訓練が提供できます」と語っている。

両ソフトウェアともPepper上で動くソフトウェア単体としての販売となるが、Pepper本体を所有していない場合でも相談に応じるという。

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