オンライン診療ガイドラインの見直し検討会3回目、「緊急避妊薬」例外を議論

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2019年3月29日、厚生労働省は都内で「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」の第3回を開催した。今回は前回積み残しとなった「緊急避妊薬のオンライン診療での処方」についてを中心に議論した。

産婦人科医会と産科婦人科学会が強い懸念を表明

この日は日本産婦人科医会と日本産婦人科学会が参考人として招致されており、まず意見聴取が行われた。なお事前の調整で「認める方向で検討する」という厚労省の内示があった上での意見聴取となったもようで、両者の意見ともに、それに対する反応というかたちをにじませている。

日本産婦人科学会は意見書を提出。その中で「決められた薬を出せば完了するという単純な診療行為ではなく、対面診療を行わない『初診対面診療の原則の例外』にはそぐわないものと考える」と懸念を表明。さらに対面が原則である現状でも、専門知識が十分でなく、短時間ですぐに処方するような施設が好まれていると指摘、オンライン処方が認められればさらに安全性が低下する懸念があり、これらに対する対応が十分講じられていない現段階での例外措置適用には「本会としては賛同できない」とした。

日本産婦人科医会も意見書を出し、最初に「緊急避妊薬をオンライン診療の対象薬品とすることには大いなる懸念を感じている」と表明。もし止むを得ず対象とする場合には、以下を遵守することが不可欠であると列挙した。

(1)対面診療の機会を担保する
処方後ある一定の期間を経て必ず医師と対面診療を行い、適切な問診及び診察を受けさせること(一定の期間とは約3週間が理想)。

(2)患者の処方薬の内服をその場で確認する
転売等を防ぐため処方は1回分を徹底し、現状に準じて処方時に内服を促す。

(3)処方を行う当事者は高度な産婦人科の専門知識を持つ医師であること
「緊急避妊法の適正使用に関する指針」(最新は2016年度改定)に基づき、詳細な問診が行える医師、産婦人科専門医あるいは母体保護法指定医師が理想。

厚労省は対応案提示、認める方向へ議論進めると表明

検討会資料より https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000496179.pdf

厚労省は両団体が示した懸念点に対し4つの対応案を示した。

(1)頻回の処方を求める利用者には
その場での内服確認を徹底、他の避妊法の紹介、産婦人科への受診勧奨

(2)処方医師の知識不足や避妊失敗の懸念には
熟知した医師が説明を行う、近隣の産婦人科医を紹介する等、3週間後の受診を担保する

(3)犯罪可能性への対処
警察への相談勧奨(未成年の場合は児童相談所へ通報)

(4)転売等のリスクには
1回分のみの処方を徹底、薬局薬剤師の前での内服を推奨

山本隆一座長(一般財団法人医療情報システム開発センター理事長)は、この案の要件を詰めていき、基本的にはオンライン診療での緊急避妊薬の処方を認める方向で進めるとした。

その他、この日の検討会では以下について議論され、方向性が出された。

・患者のもとに医師がいる場合[D to P with D]
医師が医療ロボットによる遠隔手術をする場合等は指針の対象となるが、患者のもとに医師がいれば、一定の要件のもと認める。

・患者のもとに看護師がいる場合[D to P with N]
現状の指針はオンライン診療時に看護師がいるケースを想定していないような書きぶりであるため、オンライン診療の一形態として文言を追加し認める。

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