オンライン診療で緊急避妊薬処方の要件固まる、近隣に対応医療機関ない場合に院外処方で

2019年5月31日、厚生労働省は都内で「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」の第5回を開催した。懸案である「緊急避妊薬のオンライン診療での処方」について前回までの議論を踏まえた対応策の骨子が提案され、おおむね認める方向で意見集約された。

オンライン診療の対象となるのは「近くに受診可能な医療機関がない場合」のみ

厚生労働省の資料より https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000514059.pdf

この日はまず、前回までの議論を踏まえ改定された要件案が厚生労働省側より説明された。各構成員より指摘されていた点のうち、以下のように意見を踏まえ改定されていた。

○処方できる医師は産婦人科医に限るべき
→産婦人科医と(他の診療科の)研修受講医師に限る

○対面診療での体制をまず整えるべき
→まずは地域の対応できる医療機関で対面診療を基本とする。対応医療機関はインターネットや自治体窓口で公表する

その上で「近くに受診可能な医療機関がない場合」に限り、上記と同様に産婦人科医、研修受講医によるオンライン診療を可とした。オンライン診療で処方した場合に必須の課題、と日本産婦人科学会、日本産婦人科医会が訴えていた点については、以下のように対応するとした。

○1錠のみ処方とし、医師の前での内服としている点について
1錠のみの院外処方とし、薬剤師の前での内服とするなどルールを整備する

○「処方3週間後の対面受診」について
→なんらかの手段で確実に受診を担保する

 

日本産婦人科医会、概ね賛成と意思表示

事務局の説明後、各論点について論議した。山口育子構成員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長)は、受診のハードルを下げるべきだとして、オンライン診療を可能とする要件の中に「産婦人科受診に精神的負担がある場合」という文言を入れて欲しいと要望した。これに対し、複数の委員がハードルを下げることには賛成するが、その文言では事実上どのようなケースでも可となるのではないかと懸念を示し、事務局が次回までに表現を検討することになった。

院外処方とし、薬剤師の前で内服とするなどのルール整備については、案の中では「薬剤師に対する産婦人科研修強化」とあるものの具体性に欠けたため、委員からこの点について日本産婦人科学会、日本産婦人科医会の代表に質問がなされた。両代表とも積極的に協力すると表明し、今後厚労省側と調整が進むとみられる。

処方3週間後の対面受診は、緊急避妊薬の効果を確認することのほか、患者の状態を診た上での必要な処置、適切な避妊法などの啓発の必要性といった非常に重要な理由がある。担保する手段について議論があったが、委員の中からオンライン診療システムには担保する機能が実装できるとして、以下の例をあげた。

○任意の期間(今回は3週間経過後)に患者にアラートを出したり、メッセージを送る機能

○医療機関側(院内)でしか発行できないQRコードを患者に読み込ませる

各点について議論が一通りなされたあと、前回に続き意見聴取のため招聘されていた日本産婦人科学会、日本産婦人科医会の代表のうち、後者が内容を振り返りながら「概ねこれでいいと考える」と発言。前回で指摘した点がほぼ反映されていることもあり、容認を表明した。

 

「今後数年は全症例を記録し調査する」

厚労省は指針がこの方向で改定された後の運用について「少なくとも今後数年は全症例を調査する」として、指針の遵守状況を注視していく考えを示した。会議はこの議題のみで終了、次回6月10日の検討会で具体的な指針案の文言が定まるとみられる。