オンライン診療ガイドラインの見直し作業開始、5月をめどに改訂へ

 

2019年1月24日、厚生労働省は都内で「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」の初会合を開催した。昨年度末にまとめた指針を現下の課題に即して4カ月かけ見直し、5月をめどにガイドラインとQ&Aを改訂する。

「指針策定後に指摘された課題に対応」

この日開かれた会合では、まず昨年の指針策定後に報道等で浮かび上がった、不適切なオンライン診療の実例をあげた。

検討会資料より(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000473051.pdf)
検討会資料より(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000473051.pdf)

このような例を今後防ぐため、厚労省は昨年12月26日付で医政局より通知を発出、是正に協力するよう要請しているが、同時に現在の指針の不明瞭な点を明確化する等の施策も必要とした。今年度の検討会では具体的に以下の点について議論を行うとしている。

検討会資料より(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000473051.pdf)

5月に向けて月1度検討会を開催しこれらの点の議論を深めていくこととなったが、この日は具体的議論の端緒として「オンライン受診勧奨」と「遠隔健康医療相談」の整理について議論した。

遠隔健康医療相談について、細分化を提示

先に提示した問題への対応を含め、「オンライン受診勧奨」と「遠隔健康医療相談」に関しては、より細かな整理を行う方向性が示された。

検討会資料より(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000473051.pdf

オンライン受診勧奨に関しては、医師が行う行為として指針の対象ではあるものの、現状は疾患の診断、一般用医薬品の使用勧奨の禁止以外、受診勧奨以外の具体的な行為の範囲が示唆されていない。改定案では「罹患可能性のある疾患名の列挙」「一般医薬品等を用いた自宅療養を含む経過観察や非受診の勧奨」も可能とした。

検討会資料より(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000473051.pdf

遠隔健康医療相談に関しては、現状が相談を受ける主体が医師か非医師かにかかわらず定義を行っていたが、不適切な例への対応をより強化するため、主体が医師か非医師かで別々に定義を行う方向とした。ただ、医師が行う場合に新たに「患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言を行う行為」を認めており、全体的に医師が行える行為の範囲を明確化すると同時に、広げる内容となっている。

現場の意見からも論点を設定

なお、本検討会には昨年発足した日本オンライン診療研究会の黒木春郎会長(医療法人社団嗣業の会 外房こどもクリニック理事長)も委員として参加。今後の議論の方向などについて要望を行なった。いわゆる「同一医師規定」についての緩和や、緊急避妊薬処方のために初診からオンライン診療を可と解釈する一部の動きに対しての解釈の明確化、セカンドオピニオンとオンライン診療の関係についての議論などを求めた。