「AIホスピタル」構想2022年にも実用化へ 5社が共通基盤構築、日本医師会も支援
内閣府が主導するイノベーション支援プログラム「SIP」に採択された『AIホスピタル』構想が実用化に向けて動き出すことになった。日本IBM、日本ユニシス、ソフトバンクなど5社が共同で、医用画像解析等を行うAIを、利用機関が選択して利用できるプラットフォームを構築。日本医師会が搭載するAIの審査や、プラットフォームの利用登録などを行うセンターを設置し支援する。早ければ2020年秋にもモデル事業を開始し、22年には実用化したい方針だ。
健診センター、保険会社も利用可能なプラットフォーム構築へ
今回発表されたプラットフォームの特徴は2つで、ひとつは医療機関だけでなく人間ドックなどを行う健診センター、保険会社も利用できる基盤を開発することだ。この基盤にはAIを展開する各社が審査、採用の手続きを経て解析機能を提供する。各社のソフトウェア本体を搭載するのではなく、APIのかたちで提供してもらう予定だ。つまり解析する患者のデータは基盤から各ベンダーには送られず、各ベンダーはプラットフォーム上で解析機能だけを利用し、依頼機関に結果を返すスキームとなる。また、今後開発を予定するベンダーに対しては、同様にプラットフォーム上で臨床データを利用できる開発環境を提供する。
特徴のふたつめは、日本医師会がプラットフォーム運営に参加し、利用したい各機関の利用受付業務や、採用するAIの審査を支援する「AIホスピタル支援センター」を創設し積極的にかかわることだ。日本医師会の横倉会長は「患者や国民に対し、より安全で高い精度の医療サービスを提供していくため、同センターを通じてバックアップしたい」と意気込みを述べた。
今後5社による基盤開発を加速させる一方で、この秋にも日本ユニシスを中心にモデル事業を開始し、22年の実用化を目指す。