「世界初」のIoT情報流通市場が商用開始。日本で根付くか

 

エブリセンスジャパンが発表した取引市場のイメージ(リリースより)

 

IoTデータの取扱いでは「世界初」

エブリセンスジャパンは2016年10月26日、IoTから取得した各種情報を商品として取引できる「世界初」の市場を開設すると発表した。27日から商用開始する。商用開始にあたり市場の活性化に協力する「ローンチカスタマー」として20団体を発表。これらの団体以外にも、2017年3月までに参画する企業には優待プログラムを適用するとしている。

 

「機種依存排除」「情報保護設定の簡便性」「公平性」をアピール

プラットフォームの具体的な仕様は明らかにされていないが、中核的な技術については、米国サンノゼに本拠を置く本社Everysence,.Incが特許を取得しているという。メタデータと構造を分けて扱い機種依存を排除するほか、データ提供者が情報保護や利用の範囲を個別に設定できるとしている。その状態により市場原理で価値が決定される(ポイント付与となるもよう)。エブリセンスはプラットフォームの提供のみを行い市場の公平性を厳守する。

 

IoT大手が進める垂直型囲い込みにどう対抗できるか

日本でのIoTデータのプラットフォームは専らデバイスメーカー手動のものか、プラットフォーム専業のものかのいずれかだ。前者では先日、ファナックがNTT、PFN、シスコシステムズ、ロックウェルオートメーションと共同で工場向けフィールドシステムの構築に乗り出すと発表したばかりであるし、後者ならSORACOMがネットワークを含めてのバックエンドのトータル提供で業績を伸ばしている。いずれも、その中を流れるデータの二次利用、第三者への有償での提供は考えていない。対してエブリセンスジャパンが開始した取引市場は、今回発表された参画企業の顔ぶれからすれば、比較的小さなプレイヤーに対してのマネタイズルートの提供が主になるだろう。データの利活用の観点から考えると、それぞれの提供者単体のデータのみで有効な利活用ができる質と量が確保できるかが最初のポイントになると考えられる。

なおエブリセンスジャパンは、船舶用電子機器大手の光電製作所を傘下に持つKODENホールディングスグループ2社、帝人系のITシステムベンダーであるインフォコム、データセンター/ホスティングを主幹事業とするブロードバンドタワーの4社による共同出資で2014年に設立されたベンチャー。今回の他にも独自のIoTデバイスの開発・販売を行なうともしている。

[リリース]エブリセンスジャパン、IoT情報流通市場「EverySense」ローンチカスタマー20社発表