オンライン診療ガイドライン、改訂版公開

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厚生労働省が、かねてより見直しを進めていた「オンライン診療の適切な実施に関する指針」とそのQ&Aの改訂版を正式に公開した。先々月まで開催されていた検討会の内容を踏まえたものとなっており、オンライン診療の類型の整理、初診対面診療の原則の例外とされた緊急避妊薬処方の要件などが記載されている。

オンライン受診勧奨の定義がより明確化

全体的な改定の内容はほぼ既報どおりとなっているが、先月のパブリックコメントで寄せられた内容も踏まえ、一部の文言に追加、または削除されている。今回の改定で、オンライン診療の体系が再整理され、類型が細かくなっているが、そのうちオンライン受診勧奨の定義に関して、以下のような文言の追加が行われた。

オンライン受診勧奨
医療機関への受診勧奨をリアルタイムにより行う行為であり、患者からの症状の訴えや、問診などの心身の状態の情報収集に基づき、疑われる疾患等を判断して、疾患名を列挙し受診すべき適切な診療科を選択するなど、患者個人の心身の状態に応じた必要な[最低限の]医学的判断を伴う受診勧奨。一般用医薬品を用いた自宅療養を含む経過観察や非受診の勧奨も可能である。具体的な疾患名を挙げて、これにり患している旨や医学的判断に基づく疾患の治療方針を伝達すること、[一般用医薬品の具体的な使用を指示すること、]処方等を行うことなどはオンライン診療に分類されるため、これらの行為はオンライン受診勧奨により行ってはならない。なお、社会通念上明らかに医療機関を受診するほどではない症状の者に対して経過観察や非受診の指示を行うような場合や、患者の個別的な状態に応じた医学的な判断を伴わない一般的な受診勧奨については遠隔健康医療相談として実施することができる。

(厚労省の公開した指針より)

検討会で最後に提示された文言と比べ、上記のようにより厳格な定義がなされた。すなわちオンライン受診勧奨の定義に「最低限の」が付加され、『患者個人の心身の状態に応じた必要な、最低限の医学的判断を伴う受診勧奨』とされた。「また一般用医薬品の具体的な使用を支持すること」はオンライン診療に分類される、と明確に記載された。

オンラインでのセカンドオピニオンは適用除外、引き続き検討

今年の見直し検討会では、オンライン診療を行う場合であっても初診は対面診療とする原則の例外について、具体的なユースケースを議論してきた。オンラインでのセカンドオピニオンについては、議論の最初の段階で、厚労省側より「オンライン受診勧奨」に適用して認めてはどうかという提案があったが、はっきりとした結論が得られていなかった。検討会の最終回の議論でも、厚労省は「今回は結論を得られなかったので引き続き議論したい」と表明しており(議事録参照)、公開されたガイドラインの文言にもセカンドオピニオンの記載は見られず、検討課題となったようだ。

緊急避妊薬のオンライン処方についても定義が厳格に

今年の見直し検討会で注目された、緊急避妊薬のオンライン処方については、初診対面診療の原則の例外を認められたが、既報通り非常に厳しい実施要件になると見られていた。今回公開されたガイドラインでの文言では、さらにはっきりと解釈の余地が狭められており、適応できるケースは非常に少ないものと想定される。

緊急避妊に係る診療については、緊急避妊を要するが対面診療が可能な医療機関等に係る適切な情報を有さない女性に対し、女性の健康に関する相談窓口等(女性健康支援センター、婦人相談所、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを含む。)において、対面診療が可能な医療機関のリスト等を用いて受診可能な医療機関を紹介することとし、その上で直接の対面診療を受診することとする。例外として、地理的要因がある場合、女性の健康に関する相談窓口等に所属する又はこうした相談窓口等と連携している医師が女性の心理的な状態にかんがみて対面診療が困難であると判断した場合においては、産婦人科医又は厚生労働省が指定する研修を受講した医師が、初診からオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、初診からオンライン診療を行う医師は一錠のみの院外処方を行うこととし、受診した女性は薬局において研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服することとする。その際、医師と薬剤師はより確実な避妊法について適切に説明を行うこと。加えて、内服した女性が避妊の成否等を確認できるよう、産婦人科医による直接の対面診療を約三週間後に受診することを確実に担保することにより、初診からオンライン診療を行う医師は確実なフォローアップを行うこととする。

検討会で提示された文言には「ただし、初診からオンラインで、診療録記載を含む十分な引継ぎを行っていれば、実施することとして差し支えない。」という一節が入っていたが削除された。改めて、オンライン診療で処方を行う場合は一錠のみの院外処方、受診した女性は研修を受けた薬剤師の目の前で服用するという要件が明確化されている。

外部リンク:厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針
      「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A

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