初診におけるオンライン診療、3分の2近くが消極的 臨床医へのアンケート調査で明らかに

医療機関向けのWebサイト制作などを展開するeヘルスケアが、臨床医500名余りを対象に新型コロナの影響に関する幅広いアンケートを行った。その中でオンライン診療の初診受付について、導入実態や今後の意向を聞いたところ、3分の2近くに受付意向がないことが分かった。

専用システム導入済は3%、電話含めても受付実績は28% 今後実施予定なし55%

eヘルスケアの公開資料より https://www.ehealthcare.jp/news/20200603/post2020060310.html

アンケートでは新型コロナによる様々な診療上の影響について調査しているが、オンライン診療に関する調査も行われている。勤務医や診療所の臨床医528人に、オンライン診療の初診について、これまで実績があるか聞いたところ、オンライン専用システムを利用して「既に実施している」のは僅かに3%、電話利用を合わせても28%だった。診療所や小規模病院では、オンライン専用システム2%、電話も19%と、さらに低くなっている。さらに、これまで未実施と回答した臨床医に今後実施する予定はあるか聞いたところ、55%が「予定はない」と答えた。現状では、多数が初診を行う考えがないことがうかがえる。

その理由は「費用がない」「診療報酬が安い」「不安」「責任がとれない」

eヘルスケアの公開資料より https://www.ehealthcare.jp/news/20200603/post2020060310.html

「実施予定なし」と答えた回答者に理由を自由回答で聞いたところ、経済面と診療面両方で多くの点が指摘された。「予算がない」「導入コストが出せない」といったものから「結局診療報酬が減る」「費用対効果が少ない」という経済面の懸念が示されるとともに、「初診に関しては来院してもらわないとミスが増える」「責任ある診療に適さない」といった、政府のガイドライン検討会でも示された診療上の課題がこちらでも指摘されている。

東京都の6月までのオンライン診療の実施施設数は420、対応施設の21%に

この調査とは別に、東京都保健福祉局が5月に引き続き、6月20日時点でのオンライン診療(電話診療は除く)の実績がある医療機関のリストを公表した。当メディアで機関数を数えたところ420施設で、先月より40施設以上増加した。ただし、都内でオンライン診療に対応すると表明した施設の数自体も1966施設と増えており、先月との割合で比較すると19.5%から21%と微増に止まっている。