電磁刺激のヘッドギア装着で認知機能低下を改善か 米ベンチャーが臨床試験の結果発表
脳を電磁波で刺激することで、アルツハイマー病などの神経変性疾患の症状低減、認知機能の改善の可能性が示された。専用のヘッドギアで治療を行った結果、2カ月で顕著な改善効果がみられたという論文が発表され話題になっている。
電磁波を発する専用ヘッドギアを装着
論文を発表したのは、「経頭蓋電磁気療法(TEMT)」の研究開発に取り組んでいる米NeuroEM Therapeutics。専用のヘッドギア型医療機器「MemorEM™️ Head Device」を使い、脳に電磁波刺激を与えることで、アルツハイマー病につながる「アミロイドベータ」「タウ」といったタンパク質の脳細胞内での凝集を防ぎ、症状の改善が見込めるという。同社はこの治療法の効果検証のため、軽度から中等度の63歳以上のアルツハイマー病患者8名を対象に、2カ月間、1日2回各1時間、同医療機器を患者の頭部に装着してもらい治療効果を検証した。
研究チームは各被験者について、治療前、治療直後、治療完了後2週間それぞれの時点での認知機能を、薬物治療を行った患者に一般的に活用される評価指標「ADAS-cogスコア」により評価した。その結果、8名中7名に認知機能の改善効果が認められたという。
また治療前と治療後でFDG-PETによる脳スキャンを行ったところ、安定した脳グルコース利用が明らかになり、いくつかの被験者については治療の結果によりグルコース利用が改善されたことが示唆された。同社としては仮説が裏付けられたとしているが、今後は2019年度末までに、アルツハイマー病患者150名を対象にさらに広範囲な臨床試験を行う予定。
なお、同社が発表した論文はこちらに全文公開されている。