慶應義塾大学循環器内科、AppleのCareKitを臨床研究に初活用
慶應義塾大学医学部循環器内科は2016年11月7日、以前より進めているAppleのフレームワーク、ResearchKitを活用した研究に加え、同じくAppleが提供する「CareKit」による臨床研究を開始したと発表した。CareKitは、患者自身がバイタルデータや疾患の症状を記録管理でき、それらを安全に主治医と共有できるフレームワーク。大学ではウェラブル機器などを通じて内服状況などの記録を収集し、飲み忘れ防止のための内服手帳としての活用法を検証するとしている。
Apple Watch等との連携でデータを取得、送信
慶應義塾大学医学部循環器内科は、2015年11月に国内初のResearchKitを活用した臨床研究を開始している。この研究は不整脈・脳梗塞の早期発見の鍵となる心房細動の兆候を掴むための研究であったが、今回のCareKitを活用した研究は、急性期治療を終えた自宅療養時や、慢性疾患のモニタリングといった実地の臨床を視野に入れたもの。リリースでは、通院患者にApple Watch、血圧計を貸し出し、自宅で測定された脈拍数、血圧、日々の活動データを診療のサポートに活用するとしている。またAppleWatchの音声認識機能を使って気分や症状なども音声入力できるため、血圧手帳の記入や症状を記録する作業の軽減にも役立つとしている。今後は研究を進めながら、連携する機器を増やすなど、将来の遠隔医療への先端事例を積み重ねていきたい考えだ。
AppleのCareKitとは?
被験者がiPhoneを通じて臨床研究に参加できるResearchKit、iOS上でさまざまなウェラブル機器のデータを取り込めるHealthKitに続いて、主治医と患者がセキュアな仕組みで安全に情報を共有できるフレームワークとして発表された。オープンソースで誰でも利用でき、かつある程度のアプリのテンプレートが用意されている。安価かつ安全に臨床研究や診療支援のシステムが構築できるとして発表当初から注目を浴びており、海外では臨床への応用もすでに始まっている。