日本初、順天堂大がアプリでインフルエンザの流行調査を開始
アプリでのアンケート調査で地域ごとの発生状況を把握
2016年11月2日、順天堂大学は、Appleが提供している医療や健康に関する研究用に設計したオープンソースソ フトウェアフレームワーク「ResearchKit」を採用した、インフルエンザ調査用 iPhone アプリケーション「インフルレポート」を開発したと発表した。
リリースによると、今回開発したアプリ「インフルレポート」では、以下の流れでユーザーに対し複数のアンケートを取るという。
- 最初にワクチンの接種状況などの調査
- インフルエンザに罹患後、その時の症状 や処方された薬剤などについて調査
- 30 日毎にインフルエンザ罹患状況やワクチン接種状況などを確認
この複数の調査から得られた情報に加え、罹患した際の最寄りの気温・湿度情報・歩行速度など複合的な情報も加味し、罹患者数やワクチンの効果、罹患の危険因子をはじめとしたインフルエンザに関する重要な科学的疑問の解明を試みるとしている。なお情報収集にあたり端末から得る位置情報そのものは保持せず、郵便番号で保持するという。
収集された情報をユーザーへフィードバック
アプリの特長として、収集した情報を地域ごとのインフルエンザの発生状況としてユーザーに還元することがあげられる。アプリで気になる地域を設定しておくと、その地域の状況を確認できるようになるという。アプリのユーザーに限定された情報であるため活用には留意が必要と思われるが、他の流行予測とは違った、市町村レベルの流行状況が明らかにできる可能性もある。
今回のアプリを通じた調査研究は平成33年9月まで継続して行なう予定で、13,000名程度の協力者を得たいという。
順天堂大のResearchKit®を活用したモバイルヘルスへの取組み
順天堂大は以前からResearchKitを活用した臨床研究に取り組んできた。日本初のパーキンソン病患者のQOLをアプリで調査する「iPARKSTUDY」など、今回の「インフルレポート」を含め複数のアプリをリリースしている。日本ではまだ事例が極めて少ないだけに、数年後の研究成果に注目が集まっている。