「集めない情報銀行」東京大学の取り組み、乳がん分野の情報共有を実証実験

 

 個人情報を取り扱う「情報銀行」分野で独自の研究を進めている東京大学ソーシャルICT研究センターが、企業と共同で医療分野での実証実験に臨むことが発表された。アプリの開発は企業が担当し、乳がんの発生要因の分析や乳がん検診の受診勧奨などに取り組む。

本人自ら個人情報を管理・運用、データはクラウドで分散管理

 東京大学大学院情報理工学研究科附属ソーシャルICT研究センターの橋田浩一教授が提唱する「PLR(Personal Life Repository)は、パーソナルデータを原則として本人のみが管理運用し他者と共有・利活用する仕組み。事業者が個人情報を管理するいわゆる「情報銀行」とは一線を画し、2018年5月に施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)で定められているデータポータビリティ権や削除権にも対応できるものとして注目されている。2014年には企業と共同で介護に関する記録を共有するアプリを開発しており、今回は医療分野でも共同研究のスキームで社会実装のための実証実験に臨むことになった。

 今回の共同研究パートナーは独立系 IT サービスプロバイダーのアイネット。研究分野は2つにわたり、一般的な業務への応用としては、安全で安価な名簿管理やファイル共有サービスなどの開発、ヘルスケアへの応用としては乳がんの発生要因の分析や乳がん検診の受診勧奨などに取り組むという。アイネットがアプリ開発を担当し、パーソナルデータの分析による本人に便益を提供するアプリの開発 、乳房自己チェックやボディケア分析等の動画提供アプリ開発など行う。