【編集部コラム】医療機関Webサイトの発信内容を簡易チェックするツールが登場

COLUMN

 コロナ禍以前から、インターネット上に溢れる医療情報の品質については課題が多く示されている。2016年に取りざたされた、いわゆる「WELQ」問題を契機に医療情報の信頼性を担保する必要性が常に叫ばれているが、当メディアで幾度か指摘したような課題はいまも解消されておらず、コロナ禍が問題を改めて顕在化させている状況だ。そんななか、医療機関のWebサイトの表現が医療広告ガイドラインを遵守しているかどうか、URLを入力するだけで簡易チェックできるツールがリリースされた。本来の目的とは違うが、一般の方にも有用であると思われるので紹介したい。

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今も続く、一部の医療機関による不適切な情報発信

 2016年に発覚したサイト「WELQ」(閉鎖済)における医療情報の不正確な記載を契機に、2017年から2018年にかけ医療法および医療広告ガイドラインが改正され、医療機関やその他の主体が広告できる内容の規制が改正、あるいは新たに定められた(既報)。Webサイト上の表現も明確に対象になったほか、医療機関自身の発信だけでなく、Web上のさまざまな主体、広告代理店や個人のブログまで法律の規制対象(罰則あり)とされた。さらに、ガイドラインに違反しているおそれのあるサイトなどを発見した場合に通報できる厚生労働省の窓口も設置されている。現在の規制の詳細はガイドライン本文およびQ&Aを参照していただきたい。

 しかし改正法およびガイドラインの施行後、事態が劇的に改善されたかというと、残念ながらそうではないというのが実態だ。悪質な事例はさすがに減っているものの、根拠のない、法律およびガイドラインに抵触していると思われる表現のサイトはなくなっておらず、むしろ改正前からそうした表現を行なっている医療機関の一部は居直ったかのように同様の表現を続けている。また、大手検索サービスプロバイダーはそうしたサイトが上位に出ないようアルゴリズムを変更しているが、まったく出てこなくなったというわけでもなく、そうした医療機関はバナー広告を出して露出を確保しようと躍起になっている。当メディアでは常にそうした医療機関の広告バナーが出ないよう監視し個別にブロックしているが(もし出ていたらご連絡ください)、インターネット全体としては、引き続きそうした不適切な表現を行うサイトが一定の露出度を確保してしまっている状態だ。

医療機関へ表現の簡易チェックを行うツールが登場

 そのような状況の中、あくまで情報を発信する側の医療機関とそのWebサイトの制作者に向けてであるが、表現がガイドラインを遵守しているかを簡易チェックできるツールが登場した。ブルージラフ株式会社が提供する「医療広告ガイドライン QUICK CHECK」というサービスで、表現について調べたい医療機関のサイトのURLを入力すれば、自動でサイトをチェックし結果を知らせてくれるというものだ(メールアドレスの登録は必須となる)。

 ただ当メディアとしては、このツールは一般の方にも有用であると感じた。なぜならこれまで簡単にチェックする手段自体がなかったがゆえに「良い医療機関にかかりたい、良い治療を受けたい」と思い情報検索する方々ほど、悪質な情報の毒牙にかかりやすかったからだ。ガイドラインの内容は多岐にわたりかつ複雑であり、一般の方が読み込むには酷なものでもある。もしこうしたツールが一般の方に向けても正式に使えるようになれば、医療機関も一般の方、双方がメリットのある情報のやりとりができるようになるだろう。

 なおサービス提供するブルージラフ社に見解を求めたところ、一般の方が使用することも有用であることは同意していただけた。ただしこのサービスはあくまで医療機関とそのWebサイトの制作者に向けてのものであり、その表現がガイドラインを遵守しているかどうか、判断ができない場合も注意喚起するような設計になっているとのことだ。つまり本来のサービス対象者が、現在の表現について再検討や改修をするかどうかの気づきを与えることに重点を置いており、一般の方がそのまま受け取ると誤解を受ける恐れもあるので、留意する必要があるだろう。

2021年2月17日追記:上記のツール利用前に、本来のサービス対象である「診断するサイトの制作・運営関係者」であることを確認するチェックボックスが追加されている。

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