学術集会(学会)を開催する準備をしています
11月3、4日にNPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク第3回全国の集いin福岡という学会を開催します。
特定非営利活動法人地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワークの第3回全国の集い in 福岡 2024の特設サイトです 特定非営利活動法人地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク 第3回全国... - |
数百人規模の学会を主催するなかで、テクノロジーを活用して開催費用を抑えることや効率化に取り組んでいるので、その内容についてまとめました。
テクノロジーの活用といっても、コードを書くような込み入った事ではなく、今回紹介したいのはLINE公式アカウントとNotion、そしてCanvaの三つです。「テクノロジーって言われても苦手だよ」という方にも使いやすいツールだと思うので紹介します。
LINE公式アカウントについて
LINE公式アカウントについては、様々なショップだけでなく自治体でも用いていられているため使ったことがある方が多いと思います。
ただ、自分で運用するとなると難しそうと多くの方が思われるかもしれません。しかし実際には、LINE公式アカウントのページで指示に従っていくだけでとっても簡単にLINE公式アカウントを作成可能です。
興味がある方は、ぜひ、まずは何か一つ作成してみてください。
LINE公式アカウントは、企業や店舗がお客様に直接情報を届けられるサービスです。 特に再来店や継続的な集客を狙った情報発信をすることで、売上創出に貢献します。 LINE公式アカウント|LINEヤフー for Business - LINEヤフー for Business |
なぜLINE公式アカウントがオススメなのか
私が学会準備の最初の段階でLINE公式アカウントを作成したのは、いくつか理由があります。
今回、私が主催する大会は昨年9月に名古屋で開催されました。毎回、次回大会の紹介を行うことが恒例となっており、大会ホームページの紹介を行う事もあるのですが、大会ホームページを閲覧してもらっても、それっきりホームページのことが忘れられてしまうことを過去の経験から感じていました。
そこで、次回大会紹介の際に大会公式LINEを紹介し登録してもらえば、大会に興味を持ってくれた方と繋がり続けることができると考えました。
そこで作成したのがこちらの大会公式LINEです。
私はこのとき初めてLINE公式アカウントを作成したのですが、30分足らずで簡単に作成できて驚きました。
簡単に作成はできたものの、せっかくなので多くの人に登録してもらいたいと思い、機能について考えました。
そこで実装した機能が、名古屋大会のプログラムと抄録をリッチメニューから簡単に閲覧できるものです。
このおかげか、名古屋大会中に約150名の方にお友だち登録いただけました。その後も、SNSや講演の際に紹介することで執筆時点で328名の方にお友達登録してもらっています。
LINE公式アカウント運用の工夫
LINE公式アカウントは無料で作成と運用ができます。しかし、多くのユーザーにメッセージ配信をしようとすると有料アカウントにする必要があります(具体的には月に200通以上)。
今回の大会運営においては、運営費用をいかに削減するかが重要なテーマだったため、なるべく無料のまま運用したいと考えました。
そこで行った工夫が、極力メッセージ配信は行わず、応答メッセージで対応することでした。
応答メッセージとは、ユーザーが送った特定のメッセージに対して、あらかじめ設定した返信を返すことができる仕組みです。
ユーザーからチャットを受信したときに、事前に設定しておいたメッセージを自動で返信する「応答メッセージ」機能について解説します。 応答メッセージ - LINEキャンパス - LINEキャンパス |
この応答メッセージは、いくつやり取りしても無料であるため、この応答メッセージをたくさん設定し、様々な言葉に対応できるよう仕組みを整えました。
具体的には、「会場」とメッセージが送られたら会場に関する情報を返し、「グルメ」と送ると会場近くのグルメ情報を返す、などです。
どんな単語に対応可能かは、「対応可能な単語集」という項目をリッチメニューで作成しユーザーに伝えました。
その後、大会のプログラムを作成し、大会申し込みが開始したタイミングで、それぞれリッチメニューに反映し、現在のリッチメニューとなりました。
対応可能な単語集の紹介や、グルメ情報の紹介を行う際にはNotionのページを利用しました。
Notionをどう活用したか
学会運営において、Notionは複数の用途で使用しています。
もともとは、Notionに関して講演や原稿の締め切りを把握するために使用するくらいで、あまり活用していませんでした。(以前、Notion初心者向けにこんな記事を書いたことがあります)
Notionをはじめようとして挫折しませんでしたか?「オールインワン」万能アプリとも言われ、何かと話題のNotion。https://www.notion.so/ja-jp/product?ut… ズボラなNotion初心者による、Notionのはじめ方 紹介 - Qiita - Qiita |
実はこの記事の最後にも学会運営に関して「準備・運用をNotionを使って行おうと考えています。」と書いていました。
大会実行委員会の情報共有ツールとしてのNotion
Notionの一つ目の用途は、大会実行委員会の情報共有です。
それまで、大会実行委員会は毎月Zoomを用いて開催され、日々の情報共有はメールで行われていました。
しかし、実行委員の皆さんは忙しい方ばかりで、毎月委員会のために時間をとってもらうのが申し訳ないという思いがありました。
また、過去に実行委員を経験した立場から、情報がメールで次々に送られてくるものの、いざ情報を探そうとしてもどこにいったのかわからない、そもそもその情報が送られてきてるのかどうかもわからない、ということを経験していました。
そこで、大会情報をNotionの大会実行委員ページにストックし、ここを見れば必要な情報が全てわかるようにしました。
大会実行委員会のページには、大会情報、次回委員会のZoomアドレス、過去の実行委員会資料、プログラム、趣意書や協賛申込書など、新たな資料ができるたびに掲載をしています。このNotionとメーリングリストを活用することで、今回の大会では実行委員会を2か月に一回の開催に減らすことができました。
LINE公式アカウントで表示する用のNotionページ
次にNotionを用いたのが、大会公式LINEの応答メッセージで表示するサイトです。
応答メッセージでは、もちろんメッセージを返信することができるのですが、メッセージの文章だけだと伝えられる情報量に限りがあります。そこで、応答メッセージ内にNotionで作成したページのリンクを入れることでNotionページに誘導し情報を提示することにしました。
たとえば、「グルメ」と送信すると、このようなメッセージを返しNotionページへのリンクを送信します。
そして、リンクをクリックすると、Notionで作成しておいたページが表示されるという仕組みです。
急なホームページダウンに対応してCanvaで仮ホームページ作成
大会公式LINEのリッチメニュー画像を作成するためにCanvaを使用していました。
とはいえこれについては、Canvaでなくとも作成が可能です。
Canvaの便利さを痛感したきっかけが、大会ホームページのダウンでした。7月に大会ホームページで参加登録を開始し、これから参加者を集めよう!と意気込んでいたタイミングで、ホームページが突如ダウンしました。
大量の不正メール送信が原因でいつ復旧するかわからないと業者さんから説明があり、「よりによってなぜこのタイミングで、、、」と落ち込みました。Notionのサイトを作成し大会ホームページの仮サイトを作成することを考えたものの、少し前にCanvaで簡単にホームページ作れると読んだことを思い出し急遽作成したのがこちらのページです。
2024年11月3、4日に福岡で開催する、地域共生をテーマにした全国大会です。オンデマンド視聴も可能で、参加申し込みを開始しています。こちらのサイトでプログラムや抄録集を見ることができ、参加申し込みも可能です。 地域共生ネット第3回全国の集い - |
もともとあったトップ画像を利用し、プログラム、大会抄録集、参加申込、と最低限のリンクを使うことで、15分ほどでサイトを作ることができました。
知り合いから「大会ホームページが落ちてる」と連絡をもらっていた事もあり、すぐにXへポストし、呼びかけも行いました。
結局、24時間程度のダウンで大会ホームページは復旧したものの、Canvaでこんなに簡単にホームページを作成できるとは大きな発見でした。ちょっとした学会なら、業者さんに頼まなくても自力でホームページを作れそうです。
まとめ
というわけで、LINE公式アカウント、Notion、Canvaを学会の運営に活用した経緯について紹介しました。
テクノロジーの活用といっても、今回紹介したツールはいずれもノーコードで使用可能で初心者向けの内容になっており、すぐにでも利用することが可能です。学会の準備ってとっても大変ですが、少しでも参考になると嬉しいです。
寄稿者:内田直樹(うちだ・なおき)
医療法人すずらん会たろうクリニック院長 精神科医、医学博士
2003年琉球大学医学部医学科卒業。福岡大学病院、福岡県立太宰府病院を経て、2010年より福岡大医学部精神医学教室講師。福岡大病院で医局長、外来医長を務めた後、2015年より現職。在宅医療・訪問診療の領域における精神科医や認知症専門医の役割について情報発信を行い、認知症とともによりよく生きる社会に向けた活動を行っている。編著に『認知症の人に寄り添う在宅医療』(クリエイツかもがわ)。