広島大の研究グループが、生成AIを医療画像生成に活用し、1種類のMRI画像を撮影するだけで複数種類の画像を生成可能なAIを開発した。生成した画像で子宮頸がん患者の治療効果を予測したところ、90%の予測精度を達成したという。
生成AIでT1、T2強調画像を作成し評価
研究成果を発表したのは、広島大学大学院医系科学研究科 河原大輔助教、永田靖名誉教授らの研究グループ。今回研究グループでは、実画像のコホートからT1およびT2の複数の強調画像を生成できるAIをGAN(敵対的生成ネットワーク)を活用して開発。生成画像単独、および実画像と組み合わせて画像診断に使用した場合の性能を評価した。実画像は、米国立がん研究所が運営している「The Cancer Imaging Archive」の子宮頸がん患者の画像を用いた。
モデルの評価法として一般的に使われる多変量回帰分析(LASSO回帰分析)により共通の特徴を抽出し評価したところ、実T1画像と合成T1強調MR画像でそれぞれ78.9%と74.3%、実T2画像と合成T2強調MR画像でそれぞれ81.9%と81.6%であった。また、実T1強調MR画像と実T2強調MR画像の合成モデルの平均予測精度は90.3%、実T1強調MR画像と合成T2強調MR画像の平均予測精度は90.6%、実T1強調MR画像と合成T2強調MR画像の平均予測精度は83.8%であった。
研究グループは検証結果に関して、生成画像が病変領域で目標画像と遜色なく、さらに予後が見える特徴を持った画像になっていることを示しているとし、医用画像生成が実現できれば撮影の負担を低減でき、さらに複数の画像を生成し組み合わせることで高精度な予後予測が可能になるとしている。