富士通研究所、広島大と共同でAIを活用したCT画像の立体検索技術を開発

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リリースより:今回開発した立体検索技術の基礎となる医師の手法

 

2017年6月23日、富士通研究所は富士通研究開発中心有限公司と共同で、CT検査において過去に撮影されたCT画像のデータベースの中から、異常陰影の立体的な広がり方が類似する症例を検索する技術を開発したと発表した。AIに投入した症例画像の提供および評価は、広島大学大学院医歯薬保健学研究科放射線診断学研究室の粟井和夫教授が行なった。

 

びまん性肺疾患の読影技術をAIで構築

肺疾患の画像診断の課題として、臓器全体に異常陰影が立体的に広がるびまん性肺疾患の場合には、既存の技術では判別が難しいため、医師が改めて確認していく必要があり、判断に時間がかかるというものがあった。この読影の際、医師は一般的に臓器内を末梢・中枢・上下左右といった立体的な領域に分けて、各領域の異常陰影の広がり方を見て診断する(上図)。この手法を参考に、境界が視覚的にわかりにくい臓器内の領域を画像解析で自動分割し、各領域内の異常陰影候補をAIを活用して認識することで、立体的な広がり方が似たCT画像を高精度に検索する技術を開発したという。

 

リリースより:開発した類似症例検索技術

 

この技術ではまず、CT画像から異常陰影候補を機械学習によって認識する(図3(a))。次にCT画像において比較的明瞭な部分から中枢と末梢の境界面を順次推定することにより、肺を中枢および末梢の領域に分割する(図3(b))。次に上下方向の体軸に沿って、中枢および末梢の領域に存在するそれぞれの異常陰影候補の個数をヒストグラム化(図3(c))、異常陰影の立体的な広がりの特徴を見ることにより、類似する症例を検索する。

 

診断時間を最大約6分の1に短縮できる可能性も

評価実験は、広島大学大学院医歯薬保健学研究科放射線診断学研究室の粟井和夫教授との共同研究として実施した。びまん性肺疾患のCT画像を用い実験を行った結果、検索結果の上位5件に医師が定めた正解が含まれる割合において、約85%の正解率で類似症例を検索できた。本技術により、従来は手作業で文献などから似た症例を探していた医師の診療業務の効率化が期待でき、医師が判断に時間がかかっていた症例に対し、医師が症例を判断する診断時間を最大約6分の1に短縮できる可能性があるという。

今回の研究について、粟井教授は「異常陰影の性状と立体的な分布が類似するCT画像の検索について可能性を示すことができたことは、医学的にも評価できます。また、近い将来、形態が類似した画像をグループ化して、それらのグループ内で共通の遺伝子異常がないかを調べることにより新しい疾患概念の提唱や、多数の臨床応用の可能性があり、今後、大いに期待される技術です。」と述べている。

 

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