エクサウィザーズ、資金調達を加速 「ユマニチュード®︎」とAIをミックスする認知症ケア支援サービス事業化へ 

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AIベンチャーのエクサウィザーズが、資金調達を加速している。同社が事業化ライセンスを持つ認知症ケア技法「ユマニチュード®︎」関連サービスを核に、AIを組み合わせたユマニチュードの教育技術を開発、事業化を通じて超高齢社会の課題解決に取り組むという。

 

「ユマニチュード®︎」とAI活用の両輪で認知症ケアの高度化を目指す

「ユマニチュード®」は、Yves Gineste(イヴ・ジネスト)氏、Rosette Marescotti(ロゼット・マレスコッティ)氏が考案したケア技法で、現在、フランス国内および国外10か国の700以上の施設で導入されている。日本でも2012年より展開され、昨年度福岡市で行われた実証実験では、ユマニチュードを実践することで、被介護者の認知症行動・心理症状が軽減すること、さらに看護・介護専門職や家族の介護負担感が軽減することが客観的指標で明らかになったという。

(プレスリリースより)ユマニチュード研修の様子。指導は東京医療センターの本田美和子医

エクサウィザーズは現在このケア技法を普及させるため研修事業を展開しているが、これにICT、AIを導入することで「ユマニチュード®」の教育・普及にあたっての技法の質の維持、向上を目指す。ICTデバイスを活用することで技能者の動きなどを解析する研究を進めており、その成果についてはITヘルスケア学会など、幾度か学会でも発表されている。同社ではこれを「コーチングAI」と呼称し開発を進めている。

 

SOMPOホールディングスと資本業務提携

「ユマニチュード®」を核とする同社のこの取り組みは介護事業者などから注目を浴びていたが、2018年3月28日、SOMPOホールディングスとの資本業務提携が発表された。SOMPOホールディングスは日本最大規模となる約25,700居室のシニアリビング事業に加え、定期巡回・随時対応サービスなど訪問介護事業を行っており、今後同社と「ユマニチュード®」、コーチングAIをはじめとする関連教育サービスの開発に共同で取り組む。共同実証実験を行い、本サービスの事業化を加速させるという。

 

産業革新機構含む8社から合計8.9億円を調達、自治体に介護データ解析の無償提供

さらに翌日の2018年3月29日、同社は産業革新機構を含む8社からの合計8.9億円の資金調達を発表した。調達資金は以下の目的に使うという。

 

(1)AIを活用した科学的裏付けに基づくケアの確立(ケアのエビデンス・ベースド化)

科学的裏付けに基づき評価・検証することが困難であった介護現場にあるデータを、AIで解析することにより、エビデンス・ベースド化を実現する。構造化データのみならず、動画・音声・テキスト等の非構造化データを解析も解析し、優れたケアの動作や対話の評価手法を確立する。

 

(2)AIを活用した自治体向け介護データ解析サービスの無償提供

AIを活用した無償解析サービスを無償提供し、自治体が保有する介護データを解析する。特に認知症ケアにおいて、解析を行うことで事前に適切な介入タイミングを予測し、予測結果に対する介入効果の比較検証が可能になるという。さらに事前予測結果を用いれば症状進行前の介入が可能になるため、予防介護にも繋がるとしている。

 

同社ではデータ解析サービスを無償提供することで、自治体において「予測〜介入〜評価のサイクル」を繰り返すことが可能になり、今後注目されるソーシャル・インパクト・ボンドの活用環境を整え、介護費等の社会的コストを民間主導で低減していくことに貢献できるとしている。

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