宮崎大とNTTが腎臓CT画像向けのAIを実証実験、複数疾患鑑別の可能性示す
宮崎大学とNTTデータが、腎臓CT画像に対してのAIによる診断支援の可能性を検証する実証実験を行った。がんだけでなく腎臓結石、水腎症など多くの疾患に関して検証し、高い適合率が得られたという。この結果を踏まえ、両者は2020年をめどに実際の診断業務での医師の負担削減効果の検証を計画している。
アメリカ人の腎臓CT画像を元に教師データを作成
宮崎大とNTTデータは、NTTデータが 2018 年から開発する AI 画像診断支援ソリューションの放射線科医による実診断業務への適用可能性を検証した。特定の疾病のみならず臓器のあらゆる異常を検出できること、CTメーカーあるいは造影剤の有無といったCT撮影の条件によらないことが特徴で、健康診断をはじめとしたさまざまな場で、放射線科医の負担削減が期待できるという。
実験の内容は、NTTデータがアメリカをはじめとする複数カ国の複数病院で画像データを収集していることから、これらを活用するかたちで実施された。約5,000人のアメリカ人患者、およそ11万枚の腹部CTデータのみを使って学習した NTTデータのAIを、宮崎大学附属病院の日本人患者700人のCT画像に対して適用できるかを検証した。腎がん患者データについては検出精度を検証した。
結果、腎臓結石、水腎症、嚢胞、腫瘍など多岐にわたる疾患に対して、海外で検証したのと同様の高い精度の結果が得られたほか、腎がんについての診断精度については、正解率 89.00%、感度 82.00%、特異度 95.00%、適合率94.60%の数値が得られた。宮崎大とNTTデータはこの結果を踏まえ、実際の診断業務での医師の負担削減効果の検証を、2020 年度中をめどに計画している。またさらなるステップとして、検出した異常から病名を特定するアルゴリズムの開発と検証を2019年10月から行う予定。