世界初、指紋・静脈・脈波をひとつで計測可能な薄型イメージセンサを開発 東京大学とジャパンディスプレイ
東京大学大学院工学系研究科染谷研究室とジャパンディスプレイは、世界で初めて指紋・静脈・脈波を計測可能な薄型イメージセンサを開発したと発表した。ひとつのセンサで同時に複数の生体情報を計測できた事例は世界で初めてだという。
生体情報認証の高度化に道筋
開発に成功したのは、大学院工学系研究科染谷研究室とジャパンディスプレイの共同研究チーム。染谷研究室は有機エレクトロニクスの研究で知られており、2018年には大日本印刷との共同研究で「薄型で伸縮自在なスキンディスプレイ」の製造に成功したと発表している(既報)。
今回の成果は、高移動度の低温ポリシリコン薄膜トランジスタと高感度な有機光検出器を集積し、高速読み出しが必要な脈波の分布と、生体認証に用いられる指紋や静脈といった高解像度撮像が必要な生体情報を、1つのイメージセンサで計測することを可能にしたもの。またこのイメージセンサは15マイクロメートルの厚みに形成できるため軽量で、曲げて使用することも可能。研究チームでは、このイメージセンサの活用で生体認証において模倣や「なりすまし」を防止することができるなど、高い安全性を有する認証システムへの適用が期待されるとしている。なお研究成果は2020年1月20日(英国時間)に英国科学誌「Nature Electronics」のオンライン版で公開されている。
論文リンク:A conformable imager for biometric authentication and vital sign measurement : Nature Electronics