宮崎大学神経内科、『ふるえ診断』アプリを共同開発 振戦と小脳障害の可能性を判定

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 宮崎大学医学部神経内科は、民間企業と共同で本態性防戦、小脳障害の可能性を判定できるスマートフォン向けアプリを開発、リリースした。スマートフォンによる「ふるえの程度の簡易定量化」に世界で初めて成功したという。かかりつけ医が専門医への紹介検討の材料などで利用することを想定しており、無料で使用できる。

サーバを使わず解析する「エッジAI」を採用

 高齢社会となったいま、加齢などで起こる「手のふるえ」は増加傾向にある。この症状は「本態性振戦 (人口の2.5-10%)」や小脳に何らかの障害が潜むもの(脳梗塞、脊髄小脳変性症など)など様々な原因から生じ、早期の適切な診断と専門治療へのエスカレーションが求められるものだ。しかし現在は、ふるえの程度について「強い」「中等度」「弱い」「なし」などと数段階の主観的な判断に基づくしかないという課題がある。

 この課題に、宮崎大学医学部付属病院神経内科望月仁志医師、石井信之医師らは、地元のIT企業デンサンと共同で、ふるえの程度を定量化することを試みた。基準となる「渦巻き」を患者に赤ペンでなぞってもらい写真撮影し、その画像を読み込み解析するスマートフォンアプリとAIを開発することで、軌跡が基準線よりもどれくらい長くなったか、基準線からどれくらいずれているかを数字で提示することができるようになった。

 アプリは解析結果に基づいて「正常」「本態性振戦」「小脳障害」の可能性をそれぞれ表示する。両医師は、現時点では診断の正解率が70-80%程度と高くはないが、参考程度にはなるとしている。なおAIについてはTensorFlow Liteを利用し、解析にあたってサーバを必要としない設計としており、院内でも通信状況が悪い場所や、機内モードでも利用できるという。アプリはすでにiOS、Androidそれぞれのアプリストアから無料でダウンロードできる。

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