AI搭載の内視鏡診断支援プログラム、クラスIIIの医療機器承認取得
2018年12月10日、昭和大学、名古屋大学、サイバネットシステムは、かねてより開発していた人工知能AI内視鏡画像診断支援ソフトウェアが、クラスⅢの高度管理医療機器として12月6日に承認を取得したと発表した。
精度93.7%の画像診断ソフトウェア
今回認証を取得したのは画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®」。細胞レベルまで拡大映写できる超拡大内視鏡(オリンパスEndocyto※1)を使い前がん病変を自動識別するもので、人工知能の構築手法のうち、サポート・ベクター・マシン※2を活用したもの。昭和大学横浜市北部病院 消化器センター 工藤進英特任教授が長年にわたり研究されてきた内視鏡診断の技術と、名古屋大学大学院 情報学研究科 森健策研究室にて研究されている人工知能(AI)アルゴリズムとを連携し、両研究者とサイバネットの共同研究により2013年より研究・開発してきた。昨年共同で特許出願し成立している(既報)。
また同時に昭和大学・国立がん研究センター中央病院・国立がん研究センター東病院・静岡がんセンター・東京医科歯科大学から学習用画像の提供を受け、臨床性能試験を実施。791人の患者に対し、同システムをリアルタイムで用いた大腸内視鏡検査を行い、微小大腸ポリープを93.7%の精度(=腺腫に対する陰性反応的中率)で診断する成果を得ており、非専門医の正診率を上回ったという。
今後サイバネットシステムと内視鏡を販売するオリンパスが協業の上、販売開始する予定だ。
※1 超拡大内視鏡Endocyto
最大520倍の光学拡大機能が付いた内視鏡で、リアルタイムに細胞レベルまで観察することが可能。従来品では80倍程度の拡大であったものが、同品では520倍の光学拡大機能で細胞核まで観察することができるという。検査時にリアルタイムに細胞レベルでの観察ができるため、診断精度の向上が期待されている。※2 サポート・ベクター・マシン
1963年に発表された人工知能(AI)の一種。近年注目される深層学習(ディープラーニング)と異なり、学習や出力の過程が技術者に理解しやすく、調整が容易であるというメリットがあり、画像認識・音声認識などの分野に応用されている。
EndoBRAIN®が搭載しているサポート・ベクター・マシンでは、内視鏡画像を数値化し、それに教師データ(ある画像が「腫瘍」か「非腫瘍」のどちらに該当するか)を付与し学習している。