ディープラーニングによる内視鏡診断支援ソフトウェア、クラスII医療機器の承認取得

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 2020年1月29日、昭和大学、名古屋大学、サイバネットシステムは、かねてより開発していたディープラーニングを活用し構築した人工知能(AI)を搭載する内視鏡画像診断支援ソフトウェアが、クラスIIの管理医療機器として1月24日に承認を取得したと発表した。

約395万枚の内視鏡画像をディープラーニングで学習 感度95%、特異度89%

「EndoBRAIN®-EYE」のイメージ
「EndoBRAIN®-EYE」のイメージ

 今回認証を取得したのは画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®-EYE」。大腸がん治療において、内視鏡検査での腫瘍性ポリープの発見と切除は死亡率を大きく減らす有力な手段だが※1、一方で、検査ごとに腫瘍性ポリープの約22%が見落とされている可能性が指摘も指摘されている※2。同ソフトウェアは、その見落としの軽減に主眼を置いた支援ソフトウェアで、ポリープなどを検出すると警告を発し、医師による病変の発見を補助する。設計上、あえて検出した病変の位置まで特定することはせず音と画面上の色によって医師に警告を発するにとどめ、これにより医師が診断する余地を残しつつ検出を支援することが可能になり、医師の診断に寄り添った設計になっているという。

 承認の根拠のひとつとなった臨床性能試験にあたって、国内5施設(昭和大学横浜市北部病院、国立がん研究センター中央病院、静岡県立静岡がんセンター、東京医科歯科大学附属病院、がん研究会有明病院)から集積された約395万枚の内視鏡画像をディープラーニングで学習しアルゴリズムを構築。試験では感度95%、特異度89%※3の精度で病変の検出が可能で、内視鏡医の支援に足る十分な精度を達成したとしている。なお市販後に自律的な学習による性能向上はしない仕様だが、ディープラーニングによる開発であることから学習画像数の増加やアルゴリズムの改良で性能向上が期待できる場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にその都度申請し、適宜バージョンアップを行う方針。

 今回発表した3者は、内視鏡検査に適応するAIの分野ではフロントランナーのひとつだ。昭和大学横浜市北部病院 消化器センター 工藤進英特任教授が長年にわたり研究されてきた内視鏡診断の技術と、名古屋大学大学院 情報学研究科 森健策研究室にて研究されているAIアルゴリズムとを連携し、両研究者とサイバネットの共同研究として2013年より研究・開発しており、2017年には超拡大内視鏡に適応し微小大腸ポリープを高精度に検出する診断支援ソフトウェアを開発、2016年に共同で特許出願し成立している(既報)。

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