調査研究参加者の20%が「難聴」ー Apple Hearing Studyの結果概要発表
Appleとミシガン大学が共同で取り組んでいる、スマートフォンアプリを活用した聴覚に関する調査研究の結果概要が2日発表された。それによると、研究参加者の20%がWHOの基準に照らして難聴の状態にあり、10%は騒がしい環境にさらされた結果であるとみられることが分かった。
50%近くが騒音環境下にいた経験、25%が1日あたりの環境音曝露の基準超える
AppleはiPhoneやApple Watchを活用したデータ収集ができる研究用のアプリを提供し、複数の分野で研究機関と共同研究を行なっている(参照:Appleの2019年の発表)。今回結果概要が発表されたのは、そのうちミシガン大学と共同で取り組んでいた「Apple Hearing Study」だ。
「Apple Hearing Study」は音への曝露とその聴覚の健康への影響を調査する研究で、研究用アプリを通じて参加者のヘッドフォンと環境音の曝露を経時的に測定し、これらの曝露が聴覚とストレスのレベルにどのように影響するかを判断する。研究には米国内の数千人が参加したという。今回発表された調査結果の概要は以下。
- 参加者の20%がWHO基準と比較して難聴(10%は騒音曝露が原因による難聴)
- 参加者の10%は難聴と診断(うち75%は補聴器や人工内耳などの補助サポートを受けていない)
- 参加者の25%は週に数回以上耳鳴りを経験している
- 参加者の約50%は、少なくとも10年間専門家による聴力検査を受けていない
50%近くがWHOが定める基準に照らして騒音環境下にいた経験、25%が1日あたりの環境音曝露の基準超える
- 参加者の10%がWHOが推奨する基準よりも1週間の平均ヘッドフォン曝露が多い
発表では研究でみられた耳鳴り例について、聴覚障害の兆候である可能性があるとしており、定期的に聴覚の健康状態をチェックする必要があると注意喚起している。またヘッドホン曝露が多いことについても「キャッチーな曲は魅力的ですが、リスナーは音楽やその他のメディアを最も楽しい音量で聴くことを検討する必要があります」と呼びかけた。なおAppleは、環境騒音レベルが聴覚の健康に影響を与える可能性がある場合、ユーザーに警告する通知が出るよう設定できるApple Watch用アプリ「Noise」を提供している。
調査結果について、研究チームのリック・ナイツェル准教授(ミシガン大学公衆衛生学部 環境健康科学)は「コロナ禍で多くの人が自宅にいるこの時期ですら、参加者の25パーセントが環境音曝露の基準を越えていた。これは、潜在的に有害な曝露についての理解を深めるのに役立つ」と話している。